部品枯渇対策に米空軍が製造権取得を目指す

部品枯渇防止に知的財産権まで購入しておくべき
Wilson6.jpg14日、Wilson米空軍長官が下院国防予算配分小委員会で証言し、長期間使用している装備品の部品製造会社が廃業したり部品製造を中止しているケースが増加しており、航空機等の維持が困難になりつつあると訴え、部品製造の権利まで確保すべきであると語りました
この問題は、主要な作戦機の平均年齢が30歳(米空軍戦闘機は平均30歳)を超える米空軍のみならず、西側諸国軍全体の悩みではないかと思いますが、日本においても零細な防衛産業企業が撤退して部品が確保できない状態になる事例は「ゴロゴロ」転がっていそうな印象です
例えば米空軍の将来爆撃機計画でも
(2018年2月20日アップ記事より)
B-52 wing-W.jpg米空軍が間もなく発表予定の爆撃機体系の将来計画案を軍事メディアが入手し紹介→従来方針を変更し、B-1とB-2を先に引退させ、B-52のエンジンを換装して2050年代まで使用とか。B-21経費確保とB-1と2の維持費と運用経費の高さ、またB-52の汎用性が背景に
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2
・・・のように、部品枯渇や部品調達経費の急上昇により、大ベテランB-52を存続させ、若いB-1やB-2爆撃機を先に引退させる決断をせざるを得ない事態が生じています。
空軍長官の議会証言を受けて、部品製造の権利(Intellectual Property for Parts)の確保に実際に動き出す気配があるのかよくわからない断片的な記事ですが、重要な話題ですのでとりあえずご紹介します。
15日付米空軍協会web記事より
F-16 torture tests.jpg●老朽化が進む航空機の維持に必要な部品を確保するため、米空軍は議会に対し、米空軍による部品製造の権利(Intellectual Property for Parts)の取得保有を支援してくれるよう要請している
●14日に空軍長官は下院の国防予算小委員会で、もともと部品を製造していた企業が、部品製造権を保有したまま、消滅してしまったり部品製造を中止してしまったケースが多数発生しており、部品の調達上大きな問題となっていると訴えた
●例えば議会の要請で(早期引退を計画していた米空軍の意向に反して)継続使用しているA-10攻撃機に関して言えば、製造企業の「Fairchild Republic」はもはや存在せず、A-10の維持が大きな問題となっている。
●なぜなら単純に、米空軍が必要なA-10の部品を調達する先がなく、また当該部品を独自に再製造しようとしても法的に困難だからであると空軍長官は訴えた
Wilson5.jpg●しかし実際にこの部品製造権を確保しようとすると、装備品購入時の契約交渉が大変難しいものになってきている(increasingly contentious issue)現実を空軍長官は訴え、議会に対し米空軍とともに、事態への対応に迅速な行動を要請した
●なお米陸軍の兵站補給コマンド司令官は昨年11月、米陸軍は将来兵器システムの部品製造権購入を始めており、維持部品を陸軍自らが製造調達できる体制整備に進んでいると語っている
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米陸軍の兵站補給コマンド司令官が語っている、「is buying intellectual property of its future weapons systems」の実態が気になるところです。
日本の軍需産業にゾロゾロ天下っている自衛隊将官OBの皆様には、物見遊山の米国詣でやワシントンDCでぶらぶらだけでなく、後輩の現役の役に立つような調査をしていただきたいものです。
高齢ではないが部品不足のF-35
「空軍の8割は稼働率40%」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「世界中のF-35稼働率は5割」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-3
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17

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