米国防省のこの兵器への危機感が急速上昇中
17日、ハリス太平洋軍司令官の後任者に推薦された米海軍艦隊司令官Philip Davidson海軍大将が承認を受けるため上院軍事委員会で質疑に臨みました。
まず中国の南シナ海での埋め立て島での軍事増強を、戦闘機や弾薬庫を始めとする「kineticとnon-kinetic」の両面での兵器増強を図っていると説明し、更に対処手段がないといわれる超超音速兵器の開発に中国が特に力を入れていると訴えました。
アジア経験が少ない同大将が「China is focusing heavily on developing」と表現して警戒する超超音速兵器(hypersonics)について、18日、米空軍がロッキードマーチンと具体的な約1000億円の開発契約を結んで対抗する姿勢を示しています
18日付Defense-News記事によれば
●18日に米空軍は、超超音速兵器の設計とプロトタイプ開発企業をLockheed Martin社に決定し、航空機搭載型の通常兵器超超音速兵器の設計・開発・製造・システム統合・試験・兵站計画・航空機への搭載を約1000億円かけて進めると発表した
●公式には「Hypersonic Conventional Strike Weapon」開発と呼ばれ、米空軍はこれとは別の超超音速兵器プロトタイプ開発として「Air Launched Rapid Response Weapon」2発の試験を約300億円で来年度予算に計上している
●これら2つの計画とは別に、米空軍はDARPAと組んで2つの超超音速技術開発に取り組んでおり、一つは2022年頃のプロトタイプ完成を目指す「Tactical Boost Glide program」、もう一つは「HAWC:Hypersonic Air-breathing Weapon Concept」と呼ばれるものである
●超超音速兵器は音速の5倍以上で飛翔することから、現存する防空システムでは対処不可能で、遠距離からの攻撃を可能にするものである
●今回空軍が発表したロッキードとの約1000億円計画は、今後細分化して段階的に具体的契約が行われる予定で、最初の部分の契約が数週間後に締結される予定である
●この米空軍の発表は、開発担当国防次官Michael Griffin氏が中国の超超音速兵器開発に強い懸念を示した17日の議会証言とタイミングを合わせた形となっている。
●同次官は議会で、「中国は数千㎞の射程を持つ超超音速兵器の開発で相当の成熟度を見せており、現在の米国の防御システムでは対応できない」、「米国は各部署が連携をとって本分野での投資に注力すべきである」と訴えた
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モリカケ事案や次官セクハラで機能不全の日本の政治を横目に、NKだけでなく中国がらみでも新たな軍事脅威が急速に注目を集めています。
何度も言いますが、日本は米国よりも中国の近くにあります。米国が真剣に考えているということは、日本はもっと真剣に考える必要があるということです。
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