米空軍が意思決定迅速化に規則削減

有事に兵士が自身で判断する癖をつけるには、平素の業務からそうしておくべき
wilson8.jpg30日、米空軍協会主催の朝食会で講演したWilson空軍長官は米空軍の業務効率化や意思決定の迅速化、更には将来戦に必要とされる前線兵士への権限の委譲と判断の適切化に向けた準備として、不要な規則の削減に就任以来精力的に取り組んでいると語りました
どの組織にも当てはまる事項で、なぜそうなっているのか当時のニーズが忘れられ、手順のみが生きているケースとか、デジタル化やIT化でもっと効率的な方法があるのに因習が残っているケースなど、いろいろと考えさせられるお話なのでご紹介します
30日付Military.com記事によれば
●Wilson空軍長官は、昨年5月に就任直後に2年計画の規則や規程の見直し削減を命じ、空軍内に存在する1400の規則や規程の100個を削減したと語った。
●また空軍長官は、時代に合わなくなっている規則の抽出を優先して行わせ、毎月見直し状況を報告させているとし、今後も2年計画を精力的に進めると説明した
wilson7.jpg●撤廃した規則の例として同長官は、米空軍の基地内に体力強化用の障害物訓練コースを構築するのに空軍長官の承認が必要だとする規則が存在していたことを取り上げ、「障害物訓練コース設置の基準が存在しているのに、その上私の承認がなぜ必要なのか」と空軍の体質を自嘲気味に語った
●そして、米空軍が直面している大きな課題が人的制約と作戦量の多さであるとし、意思決定権限を下部組織に移譲して意思決定を早め、時間と予算を節約したいと語った
●また同長官は、規則を削減することで、各兵士が自分自身で考え判断することを教えたいとも語り、「将来戦においては、敵は我の意思疎通を妨害してくると予想され、過去30年近く我々が行ってきた複雑化した指揮統制が機能するとは考えにくい。」
●更に長官は、「将来米空軍が必要とする兵士は、自らの任務と置かれた状況を的確に自身で把握でき、任務を自身が判断した手法で成し遂げる兵士だ」と述べ、「そのような兵士を望むのであれば、平時からそのように行動できるように兵士の環境を整えなければならない」とも説明した
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Wilson.jpgWilson空軍長官は、空軍士官学校卒業生として初めての空軍長官で、しかも初めての女性空軍長官です。将来戦の様相に対応できる、自身で判断して行動できる空軍兵士の育成に期待いたしましょう
改めてご紹介しると、米空軍士官学校の卒業生(女性で3期目)で7年間の空軍勤務がアリ、その後NSCのスタッフ、サウスダコタ州の児童教育長、下院議員を11年間、それらの合間に今も続く国防関係コンサル企業を設立したほか、複数のエネルギーや国防関連企業の顧問も務めた経験を持つ、3人の子供の母親です
「Wilson長官のご経歴など」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-24

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