最も初期型のF-35を操縦者養成に使用する部隊の苦悩をご紹介
7日付Military.comが米空軍長官と共にフロリダのエグリン基地への訪問取材記事を掲載し、米空軍F-35操縦者養成を支える第33戦闘航空団司令官へのインタビューを紹介しています
米空軍はパイロット必要数の2割不足しており、その流出が止まらない状況にあることから、手当てを増やしたり人事制度を見直したりして対応していますが、なかなか効果が見えません
そんな中、パイロット養成数を増やして穴埋めを行おうとしているわけですが、養成最前線は未成熟なF-35と部品不足と航空機不足等に悩まされ、限界状態にあるようです。
確か米空軍は、関係要員へのメディア対応を再教育するため、半年ほど取材受けを制限しているはずですが、この突撃レポートが成立したのは、「予算不足で部隊は大変なんだ!」と組織として訴えたいからでしょうか???
でも結果として、F-35開発計画のでたらめが、部隊に負担をかけていることを証明する結果になっているとしか読み取れないのですが・・・
7日付Military.com記事によれば
●米空軍のF-35導入計画や要員教育計画では、エグリン基地は107機のF-35を受け入れ教育訓練を行う予定となっていた。しかし騒音問題で地元自治体から訴えられ、59機にまで受け入れ上限を絞られた。
●しかし実際には、その上限に20機以上も足りない25機で操縦者養成を行っている状態にある。第33戦闘航空団のPaul Moga司令官は、「あと12機増えれば飛行訓練を6割増加出来、1個飛行隊分24機増やせれば、操縦者養成数を倍増以上にできる」と訴えた
●Moga司令官はまた、エグリン基地には機体を駐機したり維持整備する格納庫スペースもあり、整備部隊も配備され、飛行訓練空域も十分にあると語り、活用できるアセットが十分生かされていないと訴えている
●同航空団は既に部隊レベルで可能なあらゆる手段を講じて飛行訓練数を増やしており、例えば「hot swaps」との方法で操縦者を地上で交代させ、限られた機数の機体を最大限に活用して飛行訓練を行う努力まで行っている
●だだ、機数が不足していることだけが部隊の苦労を生んでいるのではない。同航空団の機体はF-35の中で最も初期に製造された機体で、ソフトももっとも初期型の2Bを使用しており、「生命維持装置をつけながら使用している」と司令官が表現するほど維持整備に手間が必要な状態だ
●ちなみにF-35のソフトは、2B→3I→3Fと既にアップグレードが進行中で、国防省のF-35計画室は、2020年代前半に投入を目指している要求性能を完全に満たす「Block 4 software」開発に向けた取り組みに注力し始めている
●また初期型ゆえに必要な期待改修計画が空軍計画で組まれており、機体が使用できないことも多いし、ソフトが最も初期型であることから、機体性能の最大発揮ができず、教育の中で部隊で使用している機体のソフトを経験することができない
●更に、F-35部隊全体で問題になっている修理部品の不足が、エグリン基地でも「in dire need」状態にあり大きな問題である
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エグリン基地が直面している問題は、既にご紹介してきたF-35関連の問題ばかりですが、騒音問題で訴訟まで招いていたとは・・・
米空軍の操縦者不足問題は、解決の見通し見えず・・・としておきましょう・・・・
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