運用開始して間もないが、設計開始後の時間経過を考えると遅いとも言える・・・
10日付Defense-Newsがロッキード社F-35部品調達担当Eric Branyan副社長へのインタビュー記事を掲載し、同機のコストダウンのため、重要装備品である電子戦や通信航法識別、更には全周監視センサー融合装置DAS調達先に競争原理を導入すべく、競合企業への情報収集を開始したと報じています
6月22日に行われたインタビュー内容が3週間後に記事になるあたりは、大きなお金が動く重要装備を巡る企業間駆け引きに配慮し、表現の細部に細かな確認が必要だったことを伺わせますが、2020年代前半に製造される機体に搭載開始することを念頭に作業が進んでいるようです
Branyan副社長は「(1機の価格を)90億円まで下げること狙っている」とそのターゲット(米空軍用価格で、日本用など輸出価格は別でしょうが・・・)を公言し、「そのための最も効率的な手法は競争原理の導入だ」と語っており、ぜひ頑張っていただきたいものです
10日付Defense-News記事によれば
●同副社長が語った電子戦装置EW(今はBAE Systems製)と通信航法識別装置CNI(今はNorthrop Grumman製)での新たな競争の導入開始は、F-35部品調達の世界に揺さぶりをかけることになろう
●まだ何も決定はしておらず、再選定を行うこと自体も未定だと同副社長は強調したが、「既に関連情報要望RFIを発出し、得られた情報の評価を開始しており、再選定により効果が上がるか、コストパフォーマンスはどうか、そのタイミングにあるか等々を検討している」とも説明している
●同様のRFI発出はNorthrop Grumman製の全周センサー融合システムDAS(distributed aperture system)に対しても行われ、DASに関しては検討の結果、新たにRaytheon製のDASに切り替える事を6月にロッキードが決定し、全体で3000億円のコスト削減につながるとアピールしている
●このような重要装備やシステム全体でなくても、個々のパーツレベルでの再選定も開始されており、より価格優位性や技術優位性のあるパーツや部品の検討も進められている
●EWとCNI装備に関する検討は2018年末までに結論を出すことになっているが、国防省F-35計画室も予算計画や将来の機体維持計画に反映するべく強い関心を持っている
●しかし、同副社長はどの企業に対してRFIを要望したのか等の細部には言及を避け、現在の電子戦装置AN/ASQ-239を担当するBAE SystemsもどのようなRFIへの回答をしたのか明らかにはしなかった
●業界の専門家Richard Aboulafia氏は、重要装備品の入れ替えはリスクがないわけではないが、コスト削減のためトライする価値はあるとしている。そして「F-35は運用開始して間もなく装備変更は尚早との声もあろうが、開発設計開始からの時間経過を考えれば、装備の再選定は既に遅いとも言える」と語っている
●2023年に納入予定の第15ロット生産に間に合わせようとすれば、DASを新たに担当するRaytheonは、月150セットの製造態勢を2022年7月までに整える必要があり、2019年4月には重要設計審査CDRをクリアする必要があることから、余裕はない
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ソフト開発にこれだけ苦しんでいるF-35ですから、お馴染みのRichard Aboulafia氏が言うまでもなく、他社装備を機体に新たに組み込むことのリスクは「小さくない:not necessarily insignificant」はずですが、コストダウン要求がそれだけ大きいということでしょう
副社長が言う機体価格目標の「$80 million 約88億円」は、当初計画からすればもう一声欲しいところですが、それでも高い高いハードルでしょう・・・・。
トランプが仕掛けた中国との貿易「チキンレース」戦争で世界経済に減速感が見える中、F-35から手を引く国は増えるでしょうに・・・
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