もちろん空軍トップが批判するはずはありませんが・・・
20日付米空軍協会web記事がGoldfein空軍参謀総長へのインタビュー記事を掲載し、F-35に関する空軍トップの現時点での評価を紹介しています
F-35計画を、2012年までは病んだプロジェクトだったが、それ以降は性能面でコスト低下面でも安定したプロジェクトとなっていると強調しつつ、自身が操縦していたF-16との比較でF-35の優れた性能をアピールしています
また課題として、今後は機体の単価と共に、維持費と運用コスト削減が課題であり、他軍腫や同盟国と共に全力で対処すると決意のほどを述べています
一方で回答の歯切れが悪いのは、能力が不十分で、維持整備でも手間や費用が掛かる初期型機体を今後どうするかに関してで、「個人的には・・・」といった具合です。
20日付米空軍協会web記事によれば同大将は
●Game-ChangerとしてのF-35を迎え入れられ、これほど幸せなことはない。
●F-35には悪い評価が与えられすぎている。皆が考えているよりもはるかに優れた能力をF-35は持っており、単に爆弾を投下したり敵機にミサイルを発射したりする機体ではない
●F-35は情報をフュージョンする装置だ。ISR情報を集約し、指揮統制機能も発揮できる高性能マシンだ。これらすべてが実施可能で、全ての場面で活躍できる
●F-16操縦者は、任務や訓練飛行の後のブリーフィングで、気づいたいなかった脅威が存在したことや他の状況を知ることになるが、F-35操縦者は、それがたとえ操縦者になりたての中尉であっても、任務空域の全体状況を飛行中に把握可能で、地上滑走中でも上空の状況が入手できる
●言い換えれば、操縦者は戦いを望ましい環境でマネジメント可能で、チャンスを逃したり危機を見逃すことがなくなる。つまりF-35は根本的にGame-Changerなのだ
●F-35の最新ソフト「3F」搭載機の稼働率は80%で、他の空軍機標準より高いし、運用開始2面目の期待と比較すれば格段に高い。海兵隊司令官とも情報交換しているが、海兵隊の同機も同じような状態だと聞いている
●海外で既に使用されているF-35について、イタリアとイスラエルの操縦者から直接聞く機会があったが、作戦運用面では「absolutely magnificent」だとの反応だった
●世界中で最も多くのF-35を導入する空軍として、他軍腫や他のF-35使用国と協力し、飛行コストや維持整備コストを低下させていく役割を負っていると考えている
●既にアラスカや日本、欧州へも展開経験を積み、現在は英国のRAF Lakenheathに新たな展開基地を設ける準備を進めている
●整備性や維持の面で課題を抱える初期型F-35を改修して能力向上するかについて、個人的には全機そうしたいと考えているが、予算配分が可能かどうか検討する必要がある。予算の問題なのだ
//////////////////////////////////////////////////
イタリアやイスラエル空軍の操縦者のF-35評価を語る場面の発言は、「what they’re telling me is, operationally, the airplane is absolutely magnificent」で、注目は「作戦運用面では」と限定している点です。
つまり、維持整備面では苦労しているということです。稼働率80%のソフト「3F」搭載機が何機程度どのような環境で運用されているか不明ですが、過保護で理想的な環境での数値でないことを祈ります。
もう一つ、コスト面での他国評価を聞いてみたかったです。
最近のF-35関連記事
「主要装備の再選定開始」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-15
「トルコが抜けたら大変」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24
「再びGAOが警告」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-10
「世界各国で暗雲」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26
「米国防省がF-35受け取り拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14
「維持費をF-16並みにしたい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-01-1
「2Bソフト機は稼働率4割台」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「世界中のF-35稼働率は5割」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-3
「F-35の主要な問題や課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17