7月の「Artificial Intelligence Exploration initiative」に続き
7日、DARPAのSteven Walker長官が創立60周年記念シンポジウムの閉会あいさつで、「AI Next initiative」と題したAI研究開発の5か年計画開始を発表し、総額約2200億円を投入すると説明しました。
米国防省や米軍高官は、いろんな機会を捉えてAIの将来戦における重要性を訴えていますが、裏を返せば、ロシアや中国が猛烈な勢いで投資や人材投入を加速している現状への強い危機感の表れとも言えます
7月発表の「Artificial Intelligence Exploration initiative」は、18か月間の間に、ハイリスクながらハイリターンが見込めるAI分野を見出し、あらたなAIコンセプトを提示することを目指すもので、併せて迅速な研究資金確保のメカニズムを提示した取り組みです。(受付期間は3か月とのスピード感)
一方で今回発表の「AI Next initiative」は、より包括的な全体計画の位置づけかと推察いたします
7日付米空軍協会web記事によれば長官は
●5か年計画で約2200億円をDARPA内全体でAI関連に投資し、その分野は大きく3つに分けられる
●一つは柱となるもので、私(長官)が「AI第3の波:third wave of AI」と呼ぶところの、「deal with contextual reasoning」なAI技術の開発である
●2つ目は、現在の最も困難な安保上の課題を解決するため、現有または姿が見えつつある新たなAI技術を見定めて適用することである
●3つ目は、今DARPA内で取り組んでいるAI技術を分析し、軍事や安全保障の緊要システムの強固な運用を可能にするものを検討する
また技術的な視点から5つの分野を重視
・new capabilities
・robust AI
・adversarial AI
・high-performance AI
・next-generation AI
●民間部門AI技術の活用を約束するが、米国の安全保障脅威に直結する一方で、ハイリスクの技術開発にもかかわらず、短期的に大きなリターンが望めない事を企業に要求するという課題と戦い続けなければならない
●DARPAはこれまでもAIに関与を続けてきており、AIのパイオニアである。AIの技術的基盤がゼロの時代から立ち上げ、広く世界で活用されるまでにしたのがDARPAである。
●現時点でもDARPAの計250個のプロジェクトのうち、80個がAI関連である。
●今後、DARPAが重点的に取り組むAI分野は、副長官のPeter Highnam氏が務める
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気合のほどは伝わってきますが、民間企業やベンチャーの技術に期待しつつも、経済的インセンティブを「ニンジン」として提供できないDARPAに勝算はあるのでしょうか?
なんとなく、「これまでAIをリードしてきたんだ」との「過去の栄光」頼み・・・のような気がしてなりません。ちょっと厳しいでしょうか・・・・
AIは将来を制する!
「露中はAIが世界制覇のカギと認識」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「2025年にAIで中国に負ける」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-04
「DARPA:4つの重視事項」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08