17日付Defense-Newsが、F-35の量産を判断する試験(IOT&E)に関する米国防省内資料を入手し、2019年末までにフル量産体制に入る判断が必要だが、遅れているスケジュールは綱渡り状態で、最近発生した海兵隊F-35B墜落事案もあり、予断を許さない状況だと報じています
何となく、(まんぐーすと同じく)F-35に対する悪い先入観を持った記事で、テレビ朝日のニュースステーションの安倍政権描写のような臭いがしますが、F-35計画にとっての一つの大きな節目の試験ですので、事実関係は把握しておきたいと思いますのでご紹介します
前提として、今年9月28日に海兵隊のF-35Bが加州の海軍基地近くで墜落し、調査の結果、エンジン内の燃料供給チューブに不具合が見つかり、全世界の約300機のF-35が飛行停止状態になりました。
その後、当該部分の確認と必要な場合には部品を交換し、15日の段階では8割のF-35が飛行再開にこぎつけたようです
不足する修理用パーツの緊急調達中で、この故障修理の費用負担をどうするかは未決の様ですが、これもIOT&Eスケジュールに影を落としているようです
17日付Defense-News記事によれば
●Defense-Newsが入手した、9月14日に試験ディレクターであるVarun Puri空軍大佐が使用したパワポスライドによると、IOT&E(initial operational test and evaluation)は今年11月13日にスタートし、来年7月に終了する計画となっている
●最近まで、IOT&E開始は9月15日とされていたが、空対空距離認識を改善する最新の改修版ソフトを待つために11月13日まで遅らせることになった模様である
●このIOT&Eは「フル生産:full-rate production」を2019年末までに判断するためのものであり、既に大幅に遅れているF-35計画の中でも極めて大きな節目となるものである
●しかし入手したパワポ資料は、フル生産判断に必要な試験を計画の201年7月までに終了するには相当のリスクがあると説明している
●この種の試験では避けて通れない、試験飛行の天候不順による延期、試験機材の不具合によるやり直し、機体トラブルによる試験の延期などなどに対応する余裕期間がほとんどない計画だとスライド資料は訴えている
●そして結果として、試験が2019年9月までずれ込む可能性を指摘し、9月末までの2019予算年度内に終了しなかった場合のリスクさえも懸念している
●この点に関し、国防省F-35計画室の報道官は、来年9月末までの予算対応は確保されていると回答したが、10月1日以降については回答がなかった
●11月からの本格的なIOT&E開始を前に、2018年初めから基礎的な試験が開始されており、2機編隊での低脅威への対応試験、低温環境での試験、CAS任務関係の試験が既に実施され、本格試験への準備が進められていたところ。
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IOT&Eが予定通りに開始できるか、期限までに終了できるかは今後に注目ですが、それよりも何よりも、トランプ大統領が16日の閣議で命じたと伝えられる、2020年度予算案立案にあたっての2019年度予算からの5%カット指示の影響が気になります
もともと国防省は733billionドルで計画していたところを、700billionに抑えろとの指示とも見られており、これが本当なら、F-35のフル生産だど吹っ飛んでしまうと思うのですが・・・
成り行きを見守りましょう・・・
トランプが閣議で次年度予算5%カット指示
→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2
亡国のF-35カテゴリー記事250本以上
→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302846744-1