折も折、米国が新たな武器輸出促進策発表

来年度予算5%カットで軍需産業からブーイングの中
ならば外国へ売り込めと、輸出促進策を続々と
Pompeo.jpg8日、米国務省が7月に方向性を明らかにしていた新たな通常兵器輸出政策の具体策の概要を公表し輸出制限リスト対象品の削減、担当職員の増員や輸出促進ファイナンス策の創設などが盛り込まれた模様です
武器輸出の促進はトランプ政権誕生以前からの流れですが、トランプ大統領就任後さらに加速し、更に先日の大統領からの「2020年度予算案は今年度予算から5%カットで持ってこい」、「国防省は733ビリオンのつもりだったろうが、700ビリオンで持ってこい」指示で、軍需産業から反発や悲鳴の声が巻き上がっている中での輸出促進策であることに注目です
そんなちまちました政策だけでなく、強烈な「米国製の武器を買え」(例えば日本には、オスプレイやグローバルホークやイージスアショアだけじゃ済まないぞ!)外圧が本丸の輸出促進策だと思うのですが、事実は事実として、ご紹介しておきます
8日付Defense-News記事によれば
Trump Saudi.jpg●トランプ政権の指示を受け、7月に米国務省が方向性を明らかにしていた「CAT: new Conventional Arms Transfer policy」の具体策について、8日、国務省が概要ペーパーを明らかにした
7月の段階では、具体性に欠けると軍需産業界などから批判を浴びたこともあり、国務省関係者は「かねてから一般国民や軍需産業界の皆さんに具体案を示し、ご意見をいただきたいと考えていた」と国務省高官はコメントしている
●国務省高官は新たなCATの主要ポイントについて以下のように説明した。
まず最初に、国際武器輸出に関する国内規定であるITAR(International Traffic in Arms Regulations)に規程されている輸出管理が厳しい品目リストを削減し、商務省が管轄する迅速な手続き可能な品目リストを増やすことである
また国務省は、鈍重さが軍需産業や輸出先からたびたび指摘されてきた輸出手続き処理にあたる人員の増員を実施する。国務省の「Bureau of Political-Military Affairs」部署に20数名の増員を行う計画を、5か月前から段階的に実施している
Trump Coast-G3.jpg更に国務省は武器輸出を促進するため、「creativeな financing options」を検討する。(これが軍需産業に対して宣伝費等を提供することを意味するのか、諸外国の米国製兵器購入経費を融資することなのかは不明
これらとは別に、国務省では、国家安全保障戦略NSSに基づき、より特定の能力を、より特定の国に選択して輸出を促進する方向も検討されている。このために国務省と国防省が連携を密にし、特に焦点を当てるべき国を選定し、特別な手続きの流れ等で、優先的に必要な能力を提供することも考えられている
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国務省や国防省が協力して見極める特別な配慮が必要な国や地域とは、もちろんロシア脅威におびえる東欧諸国や、イランの脅威が迫る中東同盟国もありましょうが、中国正面の日本がリストから漏れることは無いでしょう
そして特別な手法とは、単純な外圧ではないでしょうか? 
オスプレイやグローバルホークの「二の舞」にならないことを、心から祈念する次第です。
武器輸出関連の記事
「今年前半で昨年の兵器輸出額越え」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-1
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「トランプが武器輸出促進ツイート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-06
「無人機輸出方針は期待外れ?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
来年度予算カット宣言
「トランプが次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2
「国防副長官も認める」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27

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