日本に超超音速兵器探知レーダー!?

欧米軍事メディがお休みの中、日本の報道で
マティス長官が元旦でクビになるとの悲報の中ですが
Hypersonic4.jpg23日から24日にかけての時事通信が、相次いで中国やロシアの超超音速兵器に危機感を持つ米国防省の動きを報じ弾道ミサイルと異なり低空を飛翔する同兵器を探知追尾への対応の必要性を背景に示唆し、日本にも新型レーダー配備を検討していると伝えています
中国やロシアの超々音速兵器(Hypersonic Weapon)開発に米軍や国防省関係者の危機感が高まっていることを何回かご紹介してきましたが、大気圏外の高高度を飛翔して探知追尾が容易な弾道ミサイルとは異なり、大気圏内の比較的低高度を飛翔することから探知追尾が難しいことが関係者の悩みの種です
LRDR.jpg「関係者」と他人事のように言いましたが、中国が超超音速兵器で狙うのは、西太平洋地域に展開する米軍基地であり、つまり在日米軍基地やそこに配備される最新兵器であり、その同盟国である自衛隊の基地や装備も当然重要目標となるでしょうから、米国防省関係者よりも我々は危機感を持つ必要があるはずです
ミサイル防衛関係の大型レーダー開発については、アラスカに配備予定のロッキード製LRDR開発が順調との報道をご紹介し、同じ原理で縮小版のレーダーがイージスアショア用のレーダーとなることや、同類のハワイ配備のレーダーをロッキードが12月中旬に受注したことをお伝えしたところです
マティス国防長官が2月末まで引き継ぎ等のため頑張るというのに、2018年末でクビだと怒りに任せてツイートしたトランプ大統領の存在に、心中穏やかな年の瀬ではなくなりましたが、重要な新型レーダー配備の報道ですのでフォローしておきます。
23日と24日付時事通信報道によれば
Griffin2.jpg米国防総省が新型のミサイル防衛用「国土防衛レーダー」の日本への配備を検討していることが23日、複数の同省関係者への取材で分かった。米軍は今後数年間でアジア太平洋地域に国土防衛レーダー2基を新たに展開する一方、宇宙空間にもミサイル防衛用センサーを配備する方針だ。
●具体的に米軍は今後数年間でアラスカ州に長距離識別レーダー(LRDR)、日本とハワイに国土防衛レーダーを配備したい考えだ。また、宇宙空間にもセンサーを配備し、対策を進める方針だ。
●「おとぎ話ではない」。国防省ミサイル防衛局のグリーブス局長は、中国とロシアによる極超音速兵器が遠くない将来に運用可能になると警告した。極超音速兵器は最高速度がマッハ5を超えるミサイル弾道ミサイルとは異なり、レーダーに探知されにくい低空を飛行する上、飛行中に方向転換するなど機動性が高いとされる。
●グリフィン国防次官(研究・工学担当)は、中国は極超音速兵器の実験を何度も実施し、ロシアも開発を加速させていると指摘。「米軍には現在、地球上のあらゆる場所を常時監視できる設備がない」と述べ、「中国の極超音速兵器が米国に向けて発射されれば、手遅れになるまで気付くことができない」と懸念を示す。
Hyten7.jpgハイテン戦略軍司令官も「脅威を探知・識別できなければ、どんなに優れた迎撃ミサイルを持っていても無意味だ」とレーダーの重要性を強調する。
日本政府とも既に協議している2024年度予算(米会計年度23年10月~24年9月)中の配備を計画しているが、日本国内のどこに設置するかは未定。青森県と京都府に配備された早期警戒レーダー「TPY2」より強力なレーダーになる見通し
●米国防省は近く公表する「ミサイル防衛見直し(MDR)」で、北朝鮮の弾道ミサイルに加え、中国やロシアが開発する新型の極超音速兵器に対応する必要性を明確に打ち出す。そして地上や宇宙のレーダー・センサーを拡充する方針を示す見通しだ
●宇宙配備型センサーや新たなミサイル防衛用レーダーを日本とハワイに設置することで、太平洋地域の「レーダー網の穴」を埋める計画だ。
●関係者によると、日本配備が検討されている国土防衛レーダーは「長距離弾道ミサイルの精密な追跡に加え、おとり弾頭の識別や迎撃の成否を分析する」。レーダーが収集した情報はアラスカ、カリフォルニア両州に配備された地上発射型迎撃ミサイル(GBI)などによる迎撃に活用される上、日本とも共有される。
////////////////////////////////////////////////////////
LRDR2.jpg技術的なことに疎いため、日本配備のレーダーが米本土の防衛にも関係しているのか、GBIの運用にも関係しているのか、超超音速兵器と関係しているのかさえも説明ができませんが、そのうち日本のメディアも騒ぎ始めるでしょう
時事通信の報道が「住民の反対等が予期される」と報じたことに対し、ネット上の記事コメント欄には、「歓迎すべきとこではないのか?」、「何でも反対で日本が守れるのか?」といった、極めて常識的な書き込みがあふれ、左翼メディアと国民感覚のずれを感じますが、正しい知識把握と分別ある議論を日本人に期待したいと思います
ところで・・・中国大陸に目を向けるとすると、どこに配備するのでしょうか? 南西諸島でしょうか? それとも九州でしょうか? いやいや・・・米本土を念頭に北海道でしょうか?
関連の記事
「LRDRレーダー開発が順調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-10
「グリフィン局長の発言」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-1
「米空軍が1千億円で」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-1
「同兵器は防御不可能」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-21-1
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1
「米ミサイル防衛の目指すべき道」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「戦略国防次官にMD伝道者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-1
「BMDRはMDRに変更し春発表予定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24-1
「米ミサイル防衛庁の2017年予算」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-12

タイトルとURLをコピーしました