アラスカ版でなく、Nellis版の話です
味方にも5世代機の能力は秘匿したい模様
7日付米空軍協会webサイトは、米空軍戦闘コマンドACCの計画部長Scott Pleus少将が、米空軍作戦機演習の最高峰であるネリス空軍基地を拠点とした「Red Flag演習」の演習エリアが小さすぎて第5世代機などの訓練環境に不十分なので、今後の焦点となる本格紛争に備え、種々の変更が必要になると述べたと紹介しています
もちろんScott Pleus計画部長が中国沿岸部の防空システムについて言及した訳ではありませんが、中国沿岸のS-400高性能地対空ミサイルの射程は数百キロであり、またこれに対抗する米空軍のE-3やF-22やF-35がデータリンクを最大限に活用して射程1000㎞のJASSM-ERのスタンドオフ攻撃を訓練しようとすれば、相当広範囲で訓練エリアを確保することが必要となります
1000㎞というのは中国大陸と第一列島線の距離感覚で、これではネリス空軍基地周辺の広大な「うらやましい」訓練空域(地上も含む)も、「too small and too limited」となってしまいます
具体的にどのように演習エリアを確保するのか細部には言及していませんが、ネリス基地を敵味方役部隊両方が利用する現状から、複数の基地に分かれて発進したり、シミュレータを大量に導入することにも言及しており、ライブとシムを融合した形なのかもしれません
でも本来Red Flag演習は、ベトナム戦争等の教訓から、実戦を数回経験すると操縦者の被撃墜や事故率が低下するとのデータから、訓練で可能な限り実戦に近い環境を作為しようとの目的で開始されたものなので、シミュレーションがどれだけこの「心理的プレッシャー」を再現できるのか疑問ではあります
7日付米空軍協会web記事によれば
●7日 Pleus少将は、現状のRed Flag演習の状況設定や空域設定があまりにも小さく制限を受けていると評価し、オーバーホールの必要があると語った
●現在の空域も「15,000 square miles」規模の国宝級エリアだが、今日の対空脅威や兵器能力を考えると「too small and too limited」だと述べた
●将来の同演習には、現在のネリス基地を中心とした程度ではなく、ネバダ州全体レベルの規模が必要だ。
●敵味方役の全ての航空機が、脅威であるはずのS-400の射程内にあるネリス空軍基地から、仲良く離陸する形は実戦ではありえない
●将来のRed Flagはネリス基地だけに留まらない。例えばE-3は敵の脅威圏から離れた空域で運用することから、ユタ州やノースダコタ州から離陸することが考えられる
●また敵の防空システムのレーダーなど電波発射源の配置は、より現実に即して、ネバダ州でなく加州の「China Lake」あたりにしてF-22やF-35に現実的な脅威環境を提示する必要がある
●これら要変更事項は実際に飛行する少数機への対応を上げたもので、更に新たな航空機が加われば、より多くのシミュレータを導入する必要がある
●第5世代機のことを考えれば、戦闘空域で戦闘状態に至るまで、戦闘空域内を飛行させたくない。他の演習参加者にその機体の能力を知らせたくない(I don’t want to fly in open air” until they have to be flown in open air in combat)
(同少将は具体的な機種については言及しなかった)
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最後の5世代機に関する部分の訳に自信がありませんが、第5世代機の能力というものは、それほどなのでしょう・・・基地基盤が確保でき、空域に到達できれば・・・
それと、関連過去記事で取り上げているように、5世代機同士や4世代機とのリアルタイム情報共有には依然として課題ありと認識しているのですが、この点はどうなっているのでしょうか?
それにしても、加州の「China Lake」との具体的地名を引用する必要性があったのか・・・ジョークでしょうか?
なお、Pleus計画部長が語っているのは、ネバダ州のネリス空軍基地を中心に行われるレッドフラッグ演習で、航空自衛隊が参加しているアラスカで実施のRed Flag-Alaskaとは異なります。
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