なぜか国防省開発担当次官は自信ありげで・・・
多くの専門家がその実現可能性に疑問符・・
日本は巻き込まれないように要注意
17日に米政府が発表したミサイル防衛見直し(MDR)が、米空軍とミサイル防衛庁(MDA)に対し、6か月以内にミサイル防衛にF-35を如何に組み込むかについて報告するよう求めている件に関し、米軍事メディアが、Mike Griffin開発担当次官と専門家の意見を紹介しています
過去から何度か話題にされ、民間研究機関の検討レポートも存在するようですが、多くがその実行可能性や効果、更に費用対効果の面から否定的なF-35の活用について、なぜ再び取り上げられたのか良くわからないのですが、メインの対象が北朝鮮のICBMや弾道ミサイルであり、メディア記事の概要をご紹介します
まさかとは思いますが、日本が増強しようとしているF-35が巻き込まれることが無いように切に願いつつ・・・
17日付Defense-News記事によれば
●MDRは本件に関し、「F-35は高性能のセンサーを装備しており、発射段階(ブースとフェーズ)のミサイルを探知でき、ミサイルの位置を把握できる」、「F-35は巡航ミサイルの探知と迎撃が現在でも可能だが、将来的には、敵対者の弾道ミサイルを撃墜可能な新たな又は改良した迎撃体を装備し、米国の防衛や攻撃任務を強化するため、迅速に対象地域に派遣可能となるだろう」と述べている
●そしてMDRは今後半年間で、米空軍とミサイル防衛庁に、どのようにしたらF-35を最適な形でミサイル防衛に取り込むことが出来るか報告するよう求めている
●また17日、「強情な」本構想支持者である国防省Mike Griffin開発担当次官も記者団に対し、F-35の活用が作戦面で有効で、かつ費用対効果にも優れていると語った
●同次官は「ある特定の地域では(北朝鮮が頭に浮かぶが・・・)、我々はこの構想が有効で低コストだと考えている。空対空要撃と呼ぶのか、センサーと発射プラットフォームの両方の能力を備えた先進型機に新たな兵器を搭載する方向だ」と語った
●更に同次官は、「我々はMDRが示しているように、もう一度検討しなおすのだ。私が確認した最近の複数の分析では、改めて検討すべきとの結果が出ている」とも表現した
●MDRは新型と改良版の要撃体を検討対象と記しているが、同次官はAMRAAMを改良した要撃体では期待する任務を果たせないだろうとも語った
●検討の結果、例え国防省がF-35による迎撃をあきらめたとしても、同機が装備する多様なセンサーの活用はさらに追及するだろうとMDA長官は述べている
●一方、同次官の楽観的とも見える発言に対し、専門家は懐疑的である。Kingston Reif氏は2012年の科学アカデミーのレポートを示しつつ、「ICBMの短いブーストフェーズ間に、射程距離の短い航空アセット発射兵器で撃墜するには、同アセットがICBM発射地点の近傍上空に在空している必要があり、かつ迎撃ミサイルにはより燃焼速度の速い固体燃料が必要だ」と述べ、F-35活用に否定的だ
●端的に言えば、F-35のような貴重なアセットを、敵の領域近傍に常時在空させて待ち構えるようなやり方は、極めて非効率で高価であるとともに、F-35を他の任務から引きはがす点でも不適当な構想だとの指摘で、この指摘に同調する専門家が多い
●Griffin次官は、何を根拠にF-35の活用が「low cost」で、何を根拠に17日に記者団に自信を示したのか説明していないが、軍事ウォッチャーの中には、国防省がMDへのF-35活用をいつか持ち出すと睨んでいたものもいる
●共和党議員の中には、2017年のロスアラモス研究所レポートがF-35によるICBM撃墜の可能性を示していると主張する者もいる
●また、F-35の「distributed aperture system」を活用した2014年のMDAとNorthrop Grummanの研究が、2機以上のF-35の同システムデータを融合し、弾道ミサイルの位置を追尾しようと試みた試験を持ち出す者もいる
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Griffin次官の17日発言の根拠については不明ですが、今後様々に報道されるでしょう。
出ましたFNNの解説記事
→https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190120-00010000-fnnprimev-int&p=1
また、米空軍が本気で取り組むとは考えにくいのですが、いい加減に検討し、日本や韓国に押し付けることが無いよう願うばかりです・・・
MDR関連の記事
「やっと発表MDR」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-19
「MDRはまだなのか?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-25-1
「米ミサイル防衛の目指すべき道」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「戦略国防次官にMD伝道者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-1
「BMDRはMDRに変更し春発表予定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24-1
「米ミサイル防衛庁の2017年予算」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-12