「(安全の)企業文化が戻るまで確認を続ける」
ボーイング製民航機B-737MAXに連続事故の中で・・
14日、米空軍のWill Roper調達担当次官補が、製造検査中や米空軍が受領済のKC-46A空中給油機の複数の機内から、安全上の問題となる複数の部品等が発見され、機体受領を中断していた件で、ボーイング社の改善取り組みが確認できたので機体受領を再開すると明らかにしました
本件は、様々な開発中のトラブルで2年も機体納入が遅れていた同機の受け入れが1月に始まった直後のトラブルで、製造過程で使用された工具や部品、果てはゴミなどが続々と複数の機体から発見される不始末で、ボーイングへの信頼感は「地に落ちた」と考えられます
KC-10とKC-135の老朽化で、米空軍は早急にKC-46を戦力化する必要に迫られており、これ以上待てないとの妥協の受け入れ再開でしょうが、1月に受け入れ開始した段階でも、解消まで4-5年必要な「重大不具合」に目をつぶっての納入でしたから、部隊の怒りはいかほどかと・・・
14日付Military.com記事によれば
●14日、Roper調達担当次官補は下院軍事小委員会で、「FOD(foreign object debris)は安全に直結する問題であり、ゴミや工具や部品が機内に残置されている事は受け入れられなかった」と受領中断の理由を証言した。
●併せて同次官補は、11日にワシントン州のボーイング社工場を訪問し、米空軍が要求した5項目の要改善事項の履行を確認したと述べた。そして約3週間の受け入れ中断後、11日に米空軍はKC-46Aの受けれを再開した
●一方で同次官補は、当面の間、継続してボーイング社の行動を注視していくと述べ、「進歩がみられなければ問題を再び議論しなければならない」と釘を刺した
●13日にワシントンDCで講演した同次官補は、「KC-46機で発生したFOD問題を強く懸念しているとし、それが製造工程の問題だからだ」と述べ、「問題は設計図でも製造技術でもなく、ボーイング社が定めている製造工程での約束事が守られていない点にあり、現場作業員レベルにまで至る企業文化に関わる根深い問題だ」と厳しく指摘した
●Roper氏はボーイングが改善に向かっていると信じていると語る一方で、懸念は残っており、当面の間はボーイング社の対応状況を確認していくとも語っている
●そして「ボーイングの企業文化が改善されるまで、完全な機体が継続して提供されることを確認するまで、米空軍はモニターを継続する」 と述べ、ボーイング社の経営層も本件に積極的に関与していくことを約束してくれていると表現している
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このKC-46A空中給油機問題が表面化している最中に、同じボーイング製の旅客機B-737 Max型機の墜落事故がまた発生し、全世界で同機の運航停止措置が広がっています
Roper調達担当次官補が、「現場作業員レベルにまで至る企業文化に関わる根深い問題だ」とまで公言して本件を語る背景には、彼が見てきた様々なボーイングの体質や現場の状況があるのでしょう・・・。
ボーイング社は欧州のエアバス社に市場競争で押され気味です。既にエアバス社が6:4で優位との見方が一般的で、ボーイングの焦りが「安全軽視」の効率重視になっていないか気になります
関連の記事
「米空軍がKC-46受け入れ中断」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09-3
「不具合付きの初号機受領」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-2
「7機種目の対象機を認定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-08-3
「初号機納入が更に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
「10月納入直前に不具合2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19
「10月に初号機納入を発表」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22
「開発が更に遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1