12月に提案中小企業を集めイベントを
主要軍需産業との仲介役を空軍が
米空軍が12月に開催予定の「Simulators Pitch Day」なるイベントに向け、AIを兵士教育やシミュレーターに活用するアイディアを持つ中小企業(small businesses)からの提案を募集しています
提案した中小企業のアイディアを2段階で評価し、12月のイベントの最後に、主要軍需産業やベンチャーキャピタルに対するプレゼンの機会を与え、新たな血を軍需分野に取り込もうとの意気込みの取り組みです
軍事分野での人工知能AIと言えば、いろんな方向から各種ミサイルが飛び交い、強固な電子戦が常態となる戦場に、サイバーや宇宙アセットへの攻撃も混ざった複雑な環境での意思決定支援をイメージしがちですが、ますます複雑化する兵器システムや戦場に対応できる人の養成にも大きな可能性を秘めています
米空軍がどこまで大企業や資本家との仲立ちに介入するのか等、いろいろ不明な点も多い記事ですが、ただでさえ中国に後れを取っていると危機感のあるAI分野に、中小企業のアイディアを取り込もうとの必死の取り組みですのでご紹介しておきます
24日付米空軍協会web記事によれば
●12月4日に開催予定の「Simulators Pitch Day」担当のPatrick Kawonczky少佐によれば、7月1日締め切りのアイデア募集の対象エリアは、「ネットワークシミュレーターの相互運用性」、「クラウド活用のシミュレーター」、「performance-based訓練」、「データ収集と分析」などのエリアである
●同少佐は教育訓練への人工知能AIの活用について、「教育状況のモニター&管理において、受講者の習熟度に応じた教育手順、手法、技術を提案・提供してくれる」と期待を示した
●また同少佐は、AIが(受講者の)データ分析、事前分析、コンセプト案出を手助けしてくれるだろうと説明した
●別の担当大佐は「AIが人間と機械との橋渡しをしてくれる」、「受講者との間のやり取りを整理し、受講者の理解度に応じた教材を選択提供してくれことから、各受講者の特性に応じた教育のより良いカスタマイズにつながる」とその効果を説明している
●7月1日に提案受け付けを締め切り、その後、まず第1段階で選定された企業に資金を提供し、第2段階のより詳細な提案を行ってもらう
●第2段階を経た提案は、12月4日にオーランドで開催されるイベントで米空軍関係者へのプレゼンに招待され、後に軍需産業幹部やベンチャー資本家を対象とするメディア公開プレゼンの機会が得られる
●12月のイベントを統括するMargaret Merkle女史はプレスリリースで、「我々は中小企業に新たな発明を求めているのではない。彼らが既に保有している技術の中に、米空軍が必要としているアイディアがあるのではないかと問いかけているのだ。最終的には、そのアイディアを軍需産業と結び付けて迅速な技術革新世界で活用したいと考えている」と説明している
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軍需産業の合併統合が相次ぎ、寡占体制が加速する米軍需産業ですが、そうなると競争意識が低下し、コスト増と納期遅延、技術革新意欲の停滞など、大きな独占組織の弊害が出てくるのですが、最近のロッキードやボーイングを見ているとつくづくそう感じます
新たな血の導入は、カーター国防長官が副長官だったことから取り組んでいた分野で、Work副長官時代にも力を入れていた分野だと思うのですが、成果のほどはどうなんでしょうか? なかなか聞こえて来ませんねぇー
逆に、グーグルが米国産のAI技術を中国に開発センターを作って流出させていると、Dunford統合参謀本部議長がグーグル幹部に怒鳴り込む騒ぎになっているくらいですから、中小のAIベンチャーは米軍の方を見てない気もしますが・・・
「Dunford統参議長がグーグルに怒り」
→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-23
軍需産業のすそ野拡大&新陳代謝
「DIUxで優秀中小企業を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-12
「ボストンにもDIUx」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-27-1
「AIに中小企業を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-13
「G-N法改正の主要論点にも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-05
「Tech Outreach」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-28