8月7日ウクライナ軍が露軍Mi-28 攻撃へリを
ウで顕在化しつつあった有人へリの脆弱性を証明
ますます困難になる有人ヘリの前線利用
8月8日付 Defense-News は、同7日にウクライナ軍が公開した「カメラ付きドローンがロシア軍攻撃ヘリMi-28の回転翼に命中する映像」を取り上げ、ドローンによる航空機迎撃の可能性と、ウクライナで顕在化しつつあった回転機の脆弱性について取り上げています
記事は Sam Bendett米海軍分析官のコメントを紹介し、「高速飛行する軍用ヘリにドローンを操縦して指向するのは容易ではない」とし、「ウクライナのドローンが軍ヘリを追跡する試みは何度も確認されていたが、それら攻撃は全てニアミスに終わっていた」と、ドローンによる大型航空機の撃墜はこれまで成功していないと紹介していますが、
同時に、低コストのFPV (first-person-view)と呼ばれるカメラ付きドローンは日進月歩で進化しており、飛行範囲が当初の平均3~5kmから、現在では15~20kmにまで拡大するなど開発が進んでおり、「ウクライナの戦場上空には、大物を狙って日々進化を続ける高速飛行 FPV が溢れ、仮にヘリの脂弱な後部プロペラ等に誘導できれば、大きな損害を与え得るレベルに達しつつあったことも事実だ」とも述べ、今回の事象を世界の軍事関係者が強い関心をもって注視しているとしています
2022年2月にロシアがウクライナ侵略を開始して以降、ロシア軍は326機のヘリを失った可能性があるとウ軍情報部は見積っており、様々な防空システムの展開により、戦場前線でのヘリの有人飛行が極めて困難になりつつあることが多くの軍事関係者の間で共通認識となりつつあるとも同分析官は語っています
同分析官は更に、ドローンはその威力を増すために「群れやグループ」での飛行能力向上に向けた開発が進んでおり、顕在化しつつあったヘリの脂弱性を無視できなくなりつつあると語っています。
またウクライナ国防省の Serhii Kuzan元顧問は、「戦闘でのヘリコプターの将来使用は、特に無人システムの発展に伴い、再考される可能性があり、またそうすべきだ」、「ロシア・ウクライナ戦争後、攻撃手段としてのヘリコプターの役割が変わる可能性は大いにある。潜在的に、この機能は攻撃ドローンや無人ヘリコプターによっ置き換わる可能性があるからだ」と Defense-Newsに述べています
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ウクライナや中東で猛威を振るう無人機の現状を踏まえ、戦闘機が担ってきた「中及び高高度域」を押さえる「航空優勢」の概念を再考し、無人機が支配しつつある「低高度の航空優勢」含めて再定義すべきと訴え、次期制空機NGAD 開発を「再精査すべき」とか「一つのオプションに過ぎない」と米空軍首脳が語り始める中で、同様の大きな変革の流れで、無人機と活動高度帯が重なる「低高度帯域」で生きてきた軍用ヘリコプターの将来が不透明になりつつあるということです。
この迫りくる軍事変革の波を、今でも空を支配していると錯覚している戦闘機命派はどのように見ているのでしょうか? 脅威の変化の最前線に位置しながら、F-35を100機以上も導入する愚行を犯し、更に英国とイタリアに巻き込まれ、泥沼の役立たず次世代戦闘機開発を進める航空自衛隊の戦闘機命派に、天はどのような裁きを下されるのでしょうか・・・
航空優勢を再考する
「重要だが不可能だし必要もない」→https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/
米空軍は次世代制空機あきらめムード
「数か月保留で再精査」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/