Kendall 空軍長官「正しい方向にあるか確認する」
また「依然、第6世代の有人航空機を開発するつもり」
「無人機の選択肢もあるが、技術的に難しい」とも
7月30日、Kendall 空軍長官が米空軍開発部門主催の企業交流イベント(Life Cycle Industry Days)で次期制空機NGAD 発に関し、「依然、第6世代の有人航空機を開発するつもり」と述べつつも、「担当企業を選定し、単一設計と単一サプライヤーでの前進を決定する前に、適切なブロセスと運用コンセプトを持っているかなど、厳しく検討するつもりだ」と述べました
また、「無人機の選択肢もあるが、技術的に難しい」と述べつつも、B-21次期爆撃機の基本構想時と同じように「NGADはオプションで有人機にすることもできる:optionally crewed」と表現するなど、NGADの今後の方向性について非常に振れ幅の大きい表現で語っています
更に同長官は、米空軍は中国軍の急速な技術進歩と、米空軍基地に雨のように降り注ぐ弾道ミサイルに対応しなければならないと指摘し、米空軍が長い滑走路が必要な基地からのみ作戦行動を強いられるならば「我々にとり間題だ」とも語り、戦闘機の限界を示唆するような表現も用いて語った模様です
以上が7月30日付米空軍協会 web 記事が紹介している空軍長官発言ですが、以下では同記事が空軍長官発言にコメントしている内容をご紹介します
●空軍長官は昨年、NGAD 契約締結は 2024年になるだろうと語ったが、7月30日の発言はもはやそうではない可能性を示唆している
●同空軍長官と Allvin 空軍参謀総長は最近、NGAD の膨大な推定コストを削減できるかどうか、厳しく検討していると発言している。更にAllvin大将は、戦闘機が優先的に予算を確保できる時代ではなく、多くの選択肢の中の一つに過ぎなく、それは戦闘機が享受していた岩盤のような揺ぎ無い支援体制からの離別を意味する(NGAD is one of “many choices” on the budget landscape, a departure from the rock-solid support the fighter has had from the service until now) と明確に語っている
●NGAD は無人機ウイングマン機CCAの技術進歩に追い越された感があり、誰の目から見ても大きな進歩を遂げている低コストの同種無人システムと調和させなければならない。
●空軍長官はNGAD を頻繁にアップグレードすることが目標だと述べているが、米空軍の上級幹部は、技術変化の速度が加速している現状から、この手法に疑問を持つものが多い。短期間でのアップグレードを目指す CCAは3年毎のアップグレードを想定しており、CCAを操るNGADもこのペースに追随することが望ましいが、その可否に意見が分かれている
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「米空軍創設以来、戦闘機が享受していた岩盤のような揺ぎ無い支援体制からの離別・・・」との米空軍トップの発言を、日本の戦闘機命派や航空自衛隊を牛耳る戦闘機パイロットはどう受け止めているのでしょうか?
米国に対抗して、日英伊で乗り出してしまった必要性に大きな疑問符が付く次世代戦闘機開発を、どのように納めるつもりでしょうか? いつまで過去の遺産である戦闘機への優先投資を続けるのでしょう?
米空軍は次世代制空機 NGADあきらめムード
「価格低減が必須」→https://holylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
「NGADの将来は不透明」→https://holylandtokyo.com/2024/06/18/6040/