2011年から使用のB767 ベース給油機後継めぐり
2022年に6機のKC 46導入を決定していたが・・
2024年6月に突然KC-46 導入中止(halt)発表
関係者は数か月以内に再選定示唆
7月12日付 Defense-News は、イタリア空軍が2022年に決定したボーイングKC-46空中給油機6機の導入計画を中止し、現在使用するB767 ベースのポーイング製給油機4機の増強と後継機選定をやり直す模様で、世界のベストセラー給油機エアバス A330 MRTT 空中給油機が有力候補だと報じています
イタリア空軍は2011年にB767 ベースの給油機4機を導入し、その戦力増強と後継給油機として、2021年に現有B767 ベース給油機のアップグレード改修と追加で2機購入方針を決定しましたが、翌 2022年には同じくボーイング製のKC-46給油機6機導入に変更していたところでした
それが2024年6月になって伊国防省が突然、約 1900億円相当のKC-46給油機6機の購入を「変化した予期しないニーズにより:due to changed and unforeseen needs」中止すると具体的な理由説明なく発表し、軍事メディアはコストと納入時期をめぐる問題に関連している可能性を報じていたところです
ちなみに米空軍は今年3月、未だに開発時の要求性能を満たさないKC-46 給油ブーム遠隔操作システム RVSの改修バージョンRVS2.0の納入が、更に2026年まで延期されると発表していました
イタリア国防省のKC-46購入中止(Halt)発表に関し匿名の国防関係者は、「数か月以内に再度の機種選定が行われるであろう」と Defense-News に語った模様です。
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B767 ベースの空中給油機からKC-46 に機種更新中の航空自衛隊とは、別の道を進むことを決断しそうなイタリア空軍のお話でした
軍用機分野だけでなく、民航機分野でも「ボロボロ」状態のポーイング社や、同社の悪評を象徴するようなKC-46給油機について繰り返し言及することは避けますが、エアバス A330 MRTT 給油機とKC-46 給油機の比較を以下でご紹介しておきます
結論として A330MRTT は、日米イスラエルだけが使用するKC-46より遥かに多くの国で使用されており、自動給油システムなども成熟しているということです
●A330MRTT導入国はKC-46よりはるかに多い
– A330 MRTTは、豪州空軍が初導入後、英、サウジ、UAE、仏、シンガポール、韓国、スペインなど2022年時点で13か国 49機が運用中
– 更に、米国製航空機にも広く空中給油認可済で、2022年時点で戦闘機ではF-35、F-22、F-16、F-15、A-10、爆撃機ではB-1、輸送機・哨戒機では C-17、E-3、P-3及びP-8A対潜哨 戒機、そのほかE-7にも給油可能
-ベースとなるA330は世界で1600機以上使用され、部品調達など機体維持上の問題もない
●使用可能飛行場が3割増
-翼がKC-46 より大きく揚力が大きいため、アジア太平洋地域で利用できる飛行場が3割増
●3か国が導入決定の自動給油装置アリ
-「fly-by-wire boom system」で全自動装置を試験中(既に330 回給油試験済で今年中に昼間運用認証予定、夜間認証は 2023年) 高解像度高精彩3Dの画像システムを使用し、処理速度や反応速度が速い
A330MRTT 給油機関連の記事
「A330MRTT 給油機と空自F-2適合試験」 →https://holylandtokyo.com/2022/05/10/3211/
「A330MRTT & LMXT」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-20