経済崩壊下、なりふり構わず資金調達か
AH64アパッチに似た輸出用国産戦闘ヘリZ-10展示
シンガポール航空ショーで会見も説明会もなく
2月20日付Defense-Newsが、20日から25日にかけ開催のシンガポール航空ショーで、中国国営航空産業であるCATIC(中航技進出口有限責任公司:China National Aero-Technology Import & Export Corp)が、初めて中国外で軍用機の展示を行い、インタビュー対応も製品説明会もない「生煮え状態」で戦闘ヘリZ-10の輸出版(Changhe Z-10-ME-02)を会場に持ち込んでいると報じています
西側専門家はZ-10戦闘ヘリを「中国版AH-64アパッチ」と呼んでおり、IISSのミリバラ2023年版によると、中国軍は昌河飛機工業公司(Changhe Aircraft Industries)製の様々なバージョンの同ヘリを約200機導入し、最近は台湾周辺での威嚇演習やインドとの共同訓練で使用して対外露出を増やしているとのことです
なお、隔年開催のシンガポール航空ショー公式説明資料によれば、同ヘリは兵器として空対空ミサイル(CM-502KG and TY-9)、空対地ミサイル、対地ロケット発射機(GR5 guided rockets用)、23mm高性能焼夷弾を搭載可能で、前方監視レーダー、ミサイル警報装置、赤外線ミサイル回避装置を装備し、250㎏のドロップ燃料タンクが使用可能とのことです
中国外への同ヘリ輸出実績としては、2022年にパキスタンへの機数不明の輸出契約を結び、パキスタンは既に2023年から機体の受領を開始しているとのことです。なおパキスタンはトルコとのT129攻撃ヘリ購入契約を破棄して中国産Z-10MEに乗り換えたとのことで、トルコとパキスタン間で揉めているようです
また、今年のシンガポール航空ショーでは、中国が初めて民間用旅客機C919を持ち込んで売込みを行っていることが大きな話題となっており、下にご紹介するシンガポール地元TVニュースでも同航空ショーでの一番の話題として紹介しています。
ただTVニュースで西側専門家が解説しているように、C919旅客機は中国以外での飛行承認を未取得で、C919を海外で運行するに必要な維持整備体制構築にも取り掛かったばかりの模様で、海外航空会社が関心を示す様な材料には乏しいようです(会場では、チベット航空とCATIC間で40機購入の契約書署名式が披露された様ですが・・・)
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中国不動産バブル崩壊が、政府や地方政府の財政破綻に飛び火し、更には金融危機に波及しつつあり、海外資本が猛烈な勢いで中国から逃避して中国経済完全崩壊へまっしぐらな中、中国企業のみならず、中国公務員や警察官や軍人への給与支払いまで滞っているとの情報が、各方面の多数なニュースソースから漏れ聞こえてくる今日この頃です
勝手な邪推ですが、なんとなく準備不十分なままに見え、シンガポール航空ショーへの「初めて」の中国製旅客機出展や、国営軍需産業による「初めて」の軍用機展示など、中国政府による他の経済政策でも見られる「場当たり的」な対策が、中国製武器輸出でも見られるようになってきた・・・と解釈しております
中国による初の民航機C919売込みも話題
まだ中国以外の飛行承認がないのに・・・
中国外でのメンテ体制構築もこれからなのに・・・
地元TVの航空ショー紹介ニュース(約4分:Z-10紹介なし)
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