Brown統合参謀本部議長が中央軍事委員会統合参謀長と
成果を生む可能性低いも、接触から相手を読む機会
12月21日、Brown統合参謀本部議長と劉振麗・中央軍事委員会統合参謀部参謀長(彼は中国共産党第 19 期中央委員会メンバー)が米中軍事高官レベル対話をTV会議方式で実施し、前年11月にオースチン国防長官が中国国防相(先日更迭され、今は空席)と会談して以来初めてとなる軍事交流が行われました
ご承知のように米中関係は悪化傾向にありますが、今年11月にサンフランシスコ郊外でバイデン大統領と習近平主席の会談が久々に行われ、軍事レベル対話の再開に合意したを受け実施されたものですが、今後、共に2021年から開始された、米国防省の中国担当次官補代理レベルが行う「Defense Policy Coordination talks」や、米太平洋軍の海空軍トップと中国軍東部&南部軍管区トップが行う「MMCA:Military Maritime Consultative Agreement talks」も再開されるとのことです
21日のTV協議を受け米統合豪参謀本部は、「Brown議長は、両国軍関係者がオープンで率直な対話を維持することで誤解や誤算を避け、互いの関係を双方が責任感を持って管理する必要があることを強調した」と声明を出しており、例えば11月には夜間飛行中のB-52爆撃機に中国戦闘機が3mにまで接近する等、過去2年間で180回以上の中国軍機による米軍機への危険で乱暴な嫌がらせ接近飛行事案が発生していることへの対応を協議した模様です
また米統合参謀本部報道官は、「(ほかにも)2名のリーダーは多くの世界及び地域情勢に関わる安全保障上の課題について議論した」とコメントを出しています
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このような軍事レベル対話の再開については、米軍現場レベルでも継続的に中国サイドに呼びかけがなされてきており、例えばJohn Aquilino太平洋軍司令官は11月に、過去2年間に渡り、中国軍東部&南部軍管区トップと行う「MMCA」実施を中国側に要請してきたが、中国側が受け入れることはなかったと明らかにしていました
中国国防相が音信不通の後に逮捕解任され、ロケット軍司令官以下幹部が大量に同時更迭される等の習近平による軍への監視&締め付け強化の中、中国軍幹部が米軍との対話での振る舞いで「内部からの監視」に引っかかることを恐れていた可能性があり、当然、今回の軍事レベル協議再開でも大きな成果は期待できないと考えられます。(まぁ、中国経済崩壊を受け、中国が米国への支援を求める過程で、国として米軍への対応を緩和する可能性はありますが・・・)
でも、このような外国との対話は、直接的な成果は生まなくても、対話から感じ取れる相手の態度や発言内容の変化や反応から、相手国内の動きや変化を感じとる貴重な機会であり、協議への準備が負担にならない範囲で継続することは意義深いことだとまんぐーすは思います
ゲーツ国防長官(当時)はよく言ってました。冷戦下のCIA勤務時代に具体的成果は生まなかったがソ連と戦略対話を中断をはさみつつも継続的に行い、例えばソ連側のICBM増強を衛星写真を示して指摘すると、ソ連の政府代表がその事実を全く把握しておらず、どうやらソ連軍独断の可能性が浮上してソ連政府代表から細かな説明を求められた思い出や、
2011年頃の中国訪問では、胡錦濤主席を含め、中国側文民指導層は誰一人として(ゲーツ長官訪中期間に行われた)J-20ステルス戦闘爆撃機の初飛行を事前に把握していなかった模様で、その数年前のインペカブルへの対応、3年前の衛星破壊実験を事前に中国文民リーダーが把握していなかったと同様の状態が続いていることが感じ取れた・・・等と振り返り、間接的な収穫も極めて重要な成果だと強調していたところです
関連のゲーツ長官関連の記事
「慶応大学での講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-14
「2011年1月の訪中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-09-1