南海艦隊拠点とバシー海峡をにらむ
新滑走路に大型機受け入れ用の巨大エプロン
11月2日付Defense-Newsが衛星画像会社Planet Labsから提供された9月中旬撮影の画像を紹介し、台湾侵略や南シナ海の「海洋要塞化」の拠点となる海南島の南海艦隊基地近傍の、広東省湛江市の北約30kmに位置する「Suixi空軍基地」の大増強ぶりを解説しています
海南島の南海艦隊基地は中国海軍戦略原潜の一大拠点であり、空母山東の母港化も予定され中国海軍が着上陸戦力の拠点化も狙う優先増強基地ですが、ふ頭の増設や修理ドックの増強の様子を先日の記事でご紹介したところです
その海軍拠点をカバーする北方近傍に位置する広東省Suixiの空軍基地は、これまで中国空軍南方方面軍第6航空旅団の基地で、ロシア製のSU-30MKKや中国製SU-35、更にRQ-4そっくりの中国製高高度無人機WZ-7が配備されていた基地ですが、衛星画像の分析によると・・・(冒頭写真は9月18日撮影、直上写真は新旧比較)
●既存の北側滑走路が3500mに延長され、追加で南側に2800mの滑走路が新設
●滑走路への誘導路が、従来の幅18mから34mに大幅拡大され大型機使用を想定している模様
●南北2本の滑走路の間に、2つの大きな駐機場が新設され、北側駐機場上のペイントされた駐機位置を示すマークから、小型機41機と大型機4機の駐機を想定していることが判明
●2本の滑走路の南には、ミサイルや爆弾などの弾薬組立&点検用の施設が建設中であることが伺える。また滑走路南側には、以前から存在した長射程地対空ミサイルHQ-9部隊が運用中であることが確認できる
●画像からは新たな航空機の配備や、新たな航空機用シェルターは確認できないが、従来からある航空機掩体はそのまま残されており、滑走路の東西2箇所に建設用コンクリ―製造施設が稼働しており、今後も増強工事が続くと予期される
新設や延長された滑走路や拡張された駐機場から推定すると、大型爆撃機H-6やY-20空中給油機・輸送機の配備や展開拠点になることも予想され、南シナ海やバシー海峡(台湾とフィリピンの間)などの戦略的な要衝ににらみを利かせる航空拠点の増強と見られています。
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中国経済の急速な減速が伝えられ、併せて習近平の独裁体制が強化されたことを受け、中国による台湾侵攻時期が早まるのではないかとの懸念が高まっていますが、そんな懸念を裏付ける施設の増強ぶりです。
10月上旬にご紹介した海南島での中国海軍施設大増強のご紹介記事も合わせ、ご覧ください
「南シナ海の海南島で中国海軍基地増殖中」
→https://holylandtokyo.com/2022/10/06/3720/
南シナ海関連の中国記事
「Shang級の新型巡航ミサイル原潜か?」→https://holylandtokyo.com/2022/05/19/3254/
「カンボジア海軍基地へ進出」→https://holylandtokyo.com/2022/06/15/3354/
「海没のF-35Cを37日で回収」→https://holylandtokyo.com/2022/03/07/2794/
「中国の軍事力レポート2021年版」→https://holylandtokyo.com/2021/11/08/2409/