滑走路不要の無人戦闘機「X-BAT」のShield Al社開発状況

Shield Al社が2025年10月開発発表で大注目
垂直打上げ離陸&垂直着陸を目指し可変ノズル付きF110エンジン開発中
DefenseOne記者がGE社エンジン開発工場を訪問しレポート

9月4日付DefenseOneが、2025年10月に「Shield Al社」が開発コンセプトを発表した垂直離着陸型の無人戦闘機「X-BAT」の状況について、GE社が30年前にF-16用に開発したものの、お蔵入りになっていた「エンジン可変排気ノズル」を、GE社が製造しているF-16戦闘機搭載エンジンF110に装着し、「X-BAT」用エンジンとして導入するため、両社が協力して取り組む様子を報じています

「Shield Al社」は既にウクライナへ小型版「X-BAT」納入実績があり、米空軍ともF-16無人試験機「X-62A VISTA」に搭載の自立飛行AIソフト「Hivemind」開発を行っている新興企業で、前空軍長官が自ら試験機に搭乗して、その空中戦能力に驚嘆したと言わしめた新興企業です。なおそのAIソフト「Hivemind」は「X-BAT」に搭載予定となっています。

まず2025年10月発表の「X-BAT」概要を復習
●幅12m、全長7.5mで、F-5戦闘機と同サイズ。垂直離着陸体制で駐機可能なため、従来の戦闘機1機のスペースに3機格納可
●2026年にVTOL初飛行、2028年に完全デモ飛行実施を目指す。上昇限界高度5万フィート、航続距離 3600km以上で、戦闘半径は約1800km

●1機価格は約40億円($27milion)見積で、攻撃、対空、電子攻撃、ISRなど多様任務に対応可。手頃価格の消耗品で、第5世代機よりも低価格と低維持費で戦闘機性能を発揮可能な設計をアピール

●「X-BAT」はF-15やF-16戦闘機搭載エンジンに、実証済の3D推力偏向ノズル装着予定で、操縦性向上と直立姿勢での垂直離着陸(Tail-Sitter Landing System)を構想
●また、既存戦闘機エンジン使用で、他CCA候補機が亜音速飛行も、「X-BAT」は有人戦闘機と同等の速度性能でより緊密に連携行動が可能で、信頼性、整備性、成熟した兵站支援も確保可能

●搭載予定の自立飛行AI ソフト「Hivemind」は、厳しい電子戦環境(GPSや運信使用不可能な環境)を念頭に開発設計され、X-BATは戦闘空間での有人機との連携や常時通信なしでの連携戦術戦闘を可能に。なお米空軍が6月に製造契約を締結済のGeneral Atomics社のCCA候補YFQ-44Aも、自律AIソフト「Hivemind」使用

●「X-BAT」イメージ動画では、AIM-120 AMRAAMと海軍新型超長距離空対空ミサイルAIM-174B Gunslinger(SM-6ベース)搭載可能性が示唆され、Shield Al社の想像図でも、様々な兵器の搭載可能性が示唆
●垂直離着陸性を生かし、船舶、島嶼、厳しい環境からの運用が可能で、ACE構想に即した兵器とShield Al社幹部はアピール。同社はX-BAT の離着陸オプションを増やすため、発射回収用のトレーラー (launch-and-recovery trailers)を製作予定と説明

4日付DefenseOne記事によればX-BAT開発状況は
●Shield Al社推進装置開発担当は、X-BATの垂直離着陸を可能にするため「推力ベクトル制御技術」を探し求め、約30年前にGE社がF-16の機動性向上を狙って開発したが不採用になったAVEN技術(軸対称ベクトル排気ノズル:axisymmetric vectoring exhaust nozzle)に巡り合ったと説明
●GE社は「倉庫の中で放置されていたAVENノズル技術」のホコリを取り除き、資料を読み返し、F-16戦闘機用のF110エンジンとAVENの組み合わせをShield Al社に提案。両社はその後1年間をかけ、ハードウェアを現在活用可能な材料で改修し、ソフトウェアを書き直し、オハイオ州のGE社試験施設で、AVENノズル付F110エンジン「AVEN One」の開発実験室試験を完了した。

●X-BATが垂直離着陸して戦闘行動にも対応するには、高出力で燃費に優れた推進システムが必要であり、かつ着陸時にドッキング装置に正確に収まるには、微妙な調整が可能な可動排気ノズルが必要。このような推進装置と可変ノズルの融合は、単にエンジンを開発するより困難かもしれない。しかし30年前から倉庫に眠っていたAVEN技術の蓄積が、短期間でのプロトタイプエンジン「AVEN One」実現を可能にした
●今後は、「AVEN One」エンジンを搭載した「X-BAT」試作機を、高さ約55mのクレーンからワイヤーで吊り下げた状態にし、垂直離陸や垂直着陸動作が可能なことを確認する。開発実験室内で過去1年余りの試験中に収集されたデータを分析し、垂直飛行制御モデルを作成してこの試験に臨むこととなる。

●両社は、2026年末までにクレーン吊り下げ試験を完了させ、「X-BAT」が安定したホバリングを維持可能なことを実証することを目標にしている。
●Shield AI社推進装置開発担当者は、「新興宇宙企業のSpaceXやRocket Labのように、無責任なリスクは当然回避するが、リスクを採って積極的にテストを繰り返し、真の問題点を早期に把握する姿勢で臨む」、「多くのノズルを製造し、技術改良する予定だ」、また「より軽量に、より高速に、より高性能、を追求して実現したい。GEが90年代に素晴らしい仕事をし、我社に土台を与えてくれたことに心から感謝している」と語っている
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Shield Al社推進装置開発担当者はShiva Vallabhaneniさんですが、記事の中で「私が生まれた町で、私が生まれる前に誕生していた技術が、たった1年で私の仕事を大きく前進させてくれた巡り合わせに感謝し、基礎を作った先人に敬意を表し、この成果を次世代につないでいきたい」と語っています。

無人機分野で「飛ぶ鳥を落とす勢い」の「Shield Al社」で、目玉新装備の開発をけん引しているのが、20代後半から30歳程度の前後の若手エンジニアであることに改めて驚かされます。

そして「SpaceXやRocket Labのように、無責任なリスクは当然回避するが、リスクを採って積極的にテストを繰り返し、真の問題点を早期に把握する」とのご本人の言葉と併せ、「謙虚さ」と「実力を伴う馬力」を持つ若きエネルギーを最大限に生かす米国企業文化をうらやましく思います

滑走路不要の無人戦闘機CCAを提案
「Shield AI社がX-BATコンセプト発表」→https://holylandtokyo.com/2025/10/29/13059/

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