米空軍が次期輸送機NGALに関する情報提供要求書を発出

ステルス性への言及無く、不便な仮設飛行場での離発着要求のみが目立つ程度
C-17と同程度の搭載量や航続距離を求め、リンク等での接続性を重視
13年後の2038年から50年かけ、現有274機の輸送機(C-5と17)と同数導入プラン
要求性能2027年度に決定、2038年配備開始で、2041年までに初期運用態勢IOC目指し

6月12日、米空軍担当部署が関連業界に向け、現有輸送機C-5やC-17の後継機となる次期輸送機NGAL(Next Generation Airlifter)に関する市場技術調査のため、関連業界に情報提供要請書(RFI:request for information)を発出し、関心のある企業には「6月26日までのRFIに関する質問提出」と「7月17日までの情報提供」を要請しています。

本日は、この情報提供要請書(RFI)を読み解いた6月15日付米空軍協会web記事が分析&描写した、「現時点での米空軍がNGALに期待する要求性能」に関する「初期的なヒント」をご紹介したいと思います。

その前に、NGALの話題は2025年11月以来ですので、NGALを巡る経緯を、昨年11月25日付記事から簡単に復習します
●米空軍は、現有274機の輸送機(C-5と17)の後継機たるNGALの要求性能を2027年度に決定し、部隊配備を2038年までに開始し、2041年までに初期運用態勢IOCを確立したいと計画。
●現有のC-5輸送機52機とC-17輸送機222機の合計274機を、1対1で274機のNGALに2038年から50年かけ機種更新する計画。

●この様なのんびりNGAL調達計画から、C-5輸送機は今後20年間(2045年まで)、C-17輸送機は今後50年間(2075年まで)継続使用する必要があり、米空軍は2025年11月18日から26年1月26日の間で、C-5やC-17への延命対策(SLEP: service life extension program)とNGALに関するアイディア募集を関連業界に実施

●なお、少なくともC-17 は延命改修が不可欠だが、コスト増につながる大規模改修は想定せず、骨格部材と機体外板交換程度を想定し、エンジン換装は不明
●C-5輸送機は、2010年代に1.5兆円投資で行った近代化改修&延命改修が期待成果を上げておらず、稼働率を55%に引き上げる計画を推進中も、今後20年間(2045年まで)使用可能かは精査が必要

15日付米空軍協会web記事による「NGAL要求性能の初期的ヒント」
●提案機体は、格納庫や誘導路等、既存の空軍インフラが利用可能で、翼幅は223フィート未満
●最低16万ポンド(約7.2トン)の積載量を無給油で2,500nm以上運搬できる能力(C-17は16.9万ポンドを無給油で2760nm。ほぼ同じ要求レベル)(ちなみにC-5は、12万ポンド貨物を5500nm空輸可能で、空中給油で最大28万5千ポンドまで輸送可能)
●ただし、RFIは「現有機に比し、容量、航続距離、効率性、接続性、生存性、運用柔軟性において大幅進歩をもたらす成熟技術を備えた航空機設計」も求めている

●離着陸距離や、半整備滑走路や簡素な滑走路からの運用可能な設計かどうかに、米空軍は特に関心を持っている
●また空軍は、NGALの地上での取り回し(搭載物の積み下ろしや再発進準備など)に関し、不便な仮設飛行場等の劣悪な環境下で、「Materiel Handling Equipment (MHE)」依存度をどの程度低減可能かに関心を持っている

●C-17は102名の空挺兵または18パレットの貨物を空中投下可能で、C-5も空中投下可能。この面での能力の確認
●航空機の防御能力、およびサイバー攻撃を防止・復旧をどの程度可能かの詳細説明を要求

●3月に空軍輸送コマンド副司令官は、機体の生存性を高める一環として、現有輸送機とNGALの両方の状況把握能力向上のため、「接続性(connectivity)」の重要性を強調し、C-5とC-17に最新の接続機器搭載作業を進めていると明らかにしている
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次期輸送機NGALに関し、前政権時のKendall空軍長官らは、次期空中給油機NGASとともに、「ステルス性」と「空気抵抗を3割、燃料消費を5割削減の可能性」を持ったBWB (blended wing body)形状機体の導入を狙い、各種検討を進めていましたが、2038年から50年かけて「現有機と代わり映えのしないNGAL」274機を更新とは、現政権の空軍指導部は次期輸送機NGALで「革新」を放棄した模様です。

前政権時の空軍指導部は、「F-47戦闘機」を先送りし、基地防空や航空インフラの強靭化や革新的な輸送機&給油機への投資を検討していましたが、現政権では「F-47突然導入決定」や「B-21大増産検討」など、戦闘機と爆撃機のみ重視に「先祖返り」しています。特に戦闘機は、F-47でも第二列島線上から台湾海峡付近を行動半径内に置くことは不可能で、給油機の不可欠なはずです。無人機CCA給油させる気でしょうか? それならF-47も無人機にすればよいと思いますが・・・

米空軍の次期輸送機NGAL検討
「13年後から50年かけ配備!?」→https://holylandtokyo.com/2025/11/25/13270/

BWB (blended wing body)機開発関連の記事
「BWB 型給油機は失速?」→https://holylandtokyo.com/2024/10/16/6370/
「ベンチャーとBWB デモ機を」→https://holylandtokyo.com/2023/08/21/4962/
「ステルス給油機検討開始」→https://holylandtokyo.com/2023/02/13/4281/
「長官が積極発言」→https://holylandtokyo.com/2023/01/25/4156/

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