2025年4月に続き英国の姿勢を「狂気の沙汰」と
「伊は完全に、日本もほぼ完全に障壁除去も、英は利己主義の壁撤去に消極的」
1月31日夜の日英首脳会談(@東京)では「共同開発を加速」で合意と報道も・・・
同記事は、ライバルである仏独西(スペイン)共同開発のFCAS計画が入り口の「担当分担」交渉で行き詰まっている現状に比較し、日英伊のGCAP計画は比較的順調に推移していると外部からは見られているが、巨額の富や利権に国のメンツがかかった戦闘機開発ともなれば、内情は決して単純でないとし、Crosetto伊国防相発言を2025年4月の同種発言と共に、以下のように紹介しています。
2025年4月ロイター通信に対し
●英国はGCAP計画において、パートナーと最先端技術の共有に十分な努力を払っていない。
●イタリアは完全に、日本はほぼ完全に、技術共有の障壁を取り除いた。しかし英国はこの点に関し遥かに消極的であるように見える。それは誤った姿勢だ。なぜなら、利己主義こそ国家にとって最悪の敵だからだ
今回Defense-Newsに対し
●(英国の姿勢に対する見方は変化したか、との質問に対し、)英国は全く変化していない。この姿勢はロシアと中国にとって大きな恩恵となる。
●英国はそれ(技術共有)をやりたくないのだ。(共同開発が重要なタイミングを迎えている)この時期に共同開発国と技術共有しないのは狂気の沙汰だ(not sharing technology with allies is madness)
●私は(伊の中心企業である)Leonardo社に、模範を示すため技術共有を進めるよう指示し、他が追随するか見極めてきた。我々が最初の一歩を踏み出したのだ
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様々な駆け引きが背景にありそうで、単純にコメントできませんが、以下では本件を理解するために必要な「GCAPにおける日英伊の担当分野概要」を、「まんぐーす」調べを基にご紹介し、 英国がGCAPにおいて極めて重要な「主導的立場」にあることをご説明しておきます。
【GCAPにおける日英伊の担当分野概要】
公式に「この国はこの部分を担当」と明確に区分した「文書」は存在せず、「各国の主力企業が得意分野を中心に分担する形式をとっている」とだけ説明されているようです。
「明確な担当区分線引き」が公式に「文書化」されていないのは、GCAPは「3か国が対等参加」を原則としており、F-35のような明確な主従関係(米が主導)を避けることにより、3か国がそれぞれに以下の3点を確保するためだと解釈されています。
・技術主導権
・自国での改修権(Freedom of Modification)
・自国での運用主権(Freedom of Action)
・・・とは言っても、分担しないと共同開発は進まないので、確認可能な各種情報によれば、実際は以下のように分担して進められているようです。(ほぼ英国主導です)

注釈:上表で「HMI」とはHuman–Machine Interfaceの略で、以下の意味です。
• 人と航空機システムの双方向コミュニケーション手段
(例:計器表示、警報、操作スイッチ、タッチパネル、HUDなど)
• パイロットの状況認識(SA)を高め、安全性を向上させるための設計思想
• 複雑化する航空機システムを、直感的かつ誤操作しにくい形で扱えるようにする技術領域
【英国】
●主担当分野:機体設計・統合・アビオニクス・センサー融合
●主導企業:BAE Systems
●主な担当とされる分野
• 機体全体のアーキテクチャ設計
• ステルス形状・空力設計
• ミッションシステム統合
• センサー融合(Sensor Fusion)
• 将来戦闘クラウド(Combat Cloud)関連
注釈:英はTempest計画の経験を持ち、GCAPでも中心的な統合役を担う
【日本】
●主担当分野:機体構造・製造技術・エンジン要素技術・電子機器の一部
●主導企業:三菱重工業(MHI)、IHI、三菱電機など
●主な担当とされる分野
• 機体構造(特に前方胴体など)
• 高度な製造技術(日本の強みである精密加工)
• エンジンの要素技術(IHIの先進タービン技術など)
• 電子戦(EW)・レーダーの一部(MELCOのAESA技術)
注釈:日本はF-X計画で蓄積した技術をGCAPに統合
【イタリア】
●主担当分野: 電子戦(EW)・センサー・アビオニクス・一部の機体構造
●主導企業: Leonardo
●主な担当とされる分野
•電子戦(EW)システム
•センサー類(赤外線検索追尾:IRSTなど)
•アビオニクスの一部
•機体構造の一部
注釈:伊はEurofighterでのEW・センサー分野の強みを継承
日本の防衛省GCAP特設webページ
→ https://www.mod.go.jp/j/policy/defense/nextfighter/index.html#fired6
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1月30日付Defense-Newsは、日英伊3か国共同開発で2035年までの納入を目標に進められている次世代戦闘機開発GCAP(Global Combat Air Programme)に関し、独自にGuido Crosettoイタリア国防相にインタビューを行い、イタリアが英国の「最先端技術共有への消極的な姿勢」に引き続き強い不満を持ち、英国のこの姿勢は「世界中の敵国を利するものだ」等々と激しい表現で非難していると報じています。
