2025年の定期更新は、この記事で終了いたします。
2026年は1月5日(月)から開始予定で、トランプ大統領が12月22日に発表した、巨大戦艦「Trump級」については、年明けの適当な時期にご紹介いたします。
2025年もご愛読いただき有難うございました。皆様、良いお年をお迎えください。
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約4000トンのLegend級ベースに最小限改修でモジュール可変型へ
イージス艦を本格紛争に集中させるため低優先任務用に
先月の7000トンConstellation級建造中止から
米国の企業、設計、造船所による新型艦艇を強調
SNS上のビデオ映像で発表したPhelan海軍長官とCaudle海軍作戦部長は、間もなく公表予定の国家防衛戦略NDSの重視事項の一つ「軍需産業の復興」を強く意識し、またイタリア造船企業と契約して中断したConstellation級開発を教訓としているがごとく、「運用実績のある米国造船所(HII’s Ingalls Shipbuilding)製の艦艇をベースとする」、「同左ベース艦を基に、米国の設計と造船所建造を重視する」と強調しています。
また19日付USNI記事によれば、19日の発表に先立ち米海軍高官は、FF(X)初号艦は、ベース艦建造実績のあるHill社のIngalls造船所に依頼するが、その後は造船所間の競争原理を働かせてコスト管理を適切にするため、初号艦の完成設計図を基に複数の造船所で建造可能な体制に移行する方針だとし、
更に、迅速にFF(X)フリゲート艦を導入し、かつ開発リスクを局限するため、沿岸警備隊Legend級からの設計変更は最小限に抑えて建造する予定だとし、数少ない設計変更箇所として、多様な任務に応じて交換搭載可能なコンテナ化されたモジュール型任務パッケージを収容する箇所を、甲板上に設けるための改修を挙げていた模様です。
なおこの新FF(X)開発導入は、今年就任したCaudle新海軍作戦部長(CNO)が承認した新たな優先要求事項に基づくもので、海軍が必要とする艦艇数の1/3しか活用できない現状で、Caudle海軍大将が(イージス艦等の)高性能大型艦艇をハイエンド紛争に備えて確保しつつ、(紅海やカリブ海等への最近の軍艦の派遣など)第5艦隊と第4艦隊で発生している他の任務に投入可能な能力を持つ小型水上戦闘艦の迅速な確保を求めた結果だ、と説明しています
別の海軍関係者は米海軍トップCaudle大将の要求に答え、「新FF(X)初号艦は運用開始時にすぐ作戦投入可能になるだろう」、「コンテナ化されたモジュール型任務パッケージは様々な任務に応じ準備され、将来の戦力設計の中核となる要素だが、対潜水艦戦装備など、設置がより複雑な装備は、将来的に検討していくことになるだろう」と表現しており、相当に事業推進を急いでいる模様です。
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2028年から突貫工事導入の新型フリゲート艦がベースとするCoast GuardのLegend級は、米海軍の沿岸戦闘艦LCSと同時期に設計思想を同じくして開発が開始された艦艇で、米海軍がLCSへの要求事項を盛りすぎて遅延とトラブルを繰り返し、計画半ばで導入を中断した一方で、紆余曲折を経ながらも、当初6隻導入予定が10隻まで調達が拡大され、最後の艦艇が2024年4月に就航した船です。
「米国軍需産業の復興」との新NDS重点事項に沿って、無理やり駆り出された感もある米国企業と米国造船所の手による「Legend級」ですが、「計画遅延」と「コスト超過」の悪名にまみれた「米海軍の汚名」を返上すべく、米海軍の皆様には頑張って頂きたいと思います
国家防衛戦略NDSの想定概要
「国防長官が新NDSをプレビュー」→https://holylandtokyo.com/2025/12/09/13392/
米海軍の新型艦艇3艦首連続のとん挫
「7000トンConstellation級艦2隻で中止」→https://holylandtokyo.com/2025/12/01/13315/
「沿岸戦闘艦LCS 削減指示」→https://holylandtokyo.com/2015/12/22/7818/
「Zumwalt級実質2隻で打ち止め」→https://holylandtokyo.com/2016/10/29/7540/
米海軍の艦艇建造や修理能力が危機的状況
「空母修理遅延の対策検討」→https://holylandtokyo.com/2023/07/27/4836/
「米空母と潜水艦修理の75%が遅延」→https://holylandtokyo.com/2020/08/27/534/
「空母故障で空母なしで出撃」→https://holylandtokyo.com/2019/09/18/6650/
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holylandtokyo.com/2019/07/02/6679


12月19日米海軍長官と海軍トップ作戦部長が、11月の7000トンConstellation級フリゲート建造2隻で中止の余韻も冷めやらぬ中、沿岸警備隊がLegend級として2008年から計10隻の導入運用実績を持つ4000トン級艦艇をベースとした、新たなフリゲート艦をFF(X)計画として2028年から導入開始すると発表しました。