Arrowシステム初の海外売却運用へ
Arrow 3は中距離弾道ミサイル大気圏外迎撃ミサイル用
またArrow 3はその性能から「対衛星兵器」との噂も
ホロコーストの過去を引きずる両国が
「Arrow 3」など「Arrow」シリーズ弾道ミサイル防衛システムは、イスラエルと米国の共同開発で、初期型の「Arrow 2」は2000年に運用開始した世界最初の弾道ミサイル迎撃ミサイルシステムで、射程範囲90-150㎞、迎撃高度10-50㎞と言われる弾道ミサイルを終末段階で迎撃するものでしたが、
「Arrow 3」は射程距離2400㎞、迎撃高度100㎞以上とされ、「弾道ミサイルを大気圏外の宇宙空間で迎撃」するシステムで、その性能から「対衛星兵器」として使用可能との評価もある装備ですが、イラン等からの中距離弾道ミサイル防衛用に開発され2017年から運用開始しています。
なお「Arrow 2」と「Arrow 3」は、2023年10月~11月にイエメンからの弾道ミサイル迎撃に成功して実戦で能力を示し、その後もイランやイエメンからの度重なる弾道ミサイルの迎撃を行っているところですが、あまりの飛来ミサイルの多さに迎撃ミサイルが枯渇し始めており、同時に迎撃コストの高さが大きな問題化し始めているようです
話は本題に戻りドイツの「Arrow 3」ですが、2023年6月にドイツ議会の承認を受け3個中隊分の「Arrow 3」導入を約6000億円で正式決定し、2020年代末までに3個中隊全てを受領する予定のようで、今回ベルリン南方で初期運用体制を確立するのは最初の1個中隊(迎撃ミサイル6発搭載の発射機4台で構成)の模様です。
なお記事の表現が曖昧ですが、残り2個中隊は、1個がドイル北部をカバーする場所に、そして最後
の1個中隊がドイツ南部を射程内に収める場所に配備される模様です。
またこの点も記事からは判然としませんが、独の「Arrow 3」導入が、西ヨーロッパの防空強化(米国への依存からの脱却)を目的として2022年に設けられた「防空装備の共同調達と相互運用性を推進する」多国間枠組み「European Sky Shield Initiative:ESSI」(現時点で北極海から中東に至る24カ国が加盟。スイスなど中立国含め)の資金や人材の協力を得て行われた可能性が高い模様です。
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欧州独自での国防能力強化や、スイスやオーストリアなどの中立国も参加する「ESSI」枠組みでの「象徴的な一歩」となるイベントですが、多くの側面で「舌足らず」な記事で申し訳ありません。
「Arrow 3」の性能や、「European Sky Shield Initiative:ESSI」との関連など、もう少し調べれば良かったのですが、とりあえず、イスラエル製の本格BMDシステムが、暗い影のある両国の歴史を乗り越え、ドイツで稼働する事実も併せてお伝えしておきます。
ESSI 関連の記事
「オーストリアも参加意思表明」→https://holylandtokyo.com/2024/07/31/6125/
「中立国スイス参加意思表明」→ https://holylandtokyo.com/2023/07/12/4828/


12月2日付Defense-Newsはドイツメディア報道を引用し、イスラエル製の弾道ミサイル迎撃システム「Arrow 3」が、12月3日にベルリンの南約60㎞の配備基地で初期運用体制を確立する、と報じています。
