カタールへの F-15Q型36機売却合意（2017年）に伴うもの
数百億円規模の大型プロジェクトが細部不明な状況にざわつき
最近のカタールとトランプ政権の親密さもあり・・・
10月10日、ヘグゼス国防長官がカタール国防相と会談後に、アイダホ州 Mountain Home 空軍基地内に、カタールが米国から導入しているカタール空軍F-15Q 戦闘機用の永続的な駐機＆訓練施設を、FMS枠組みで建設することに合意したと発表し、併せてガザ地区を巡るイスラエルとハマス間の合意締結に関するカタールの仲介に感謝するとの声明を出しました。この発表はトランプ政権誕生後の両国間の親密さと非公開事項の多さを反映して大きな注目と質問を集めたようで、上記発表の7時間後に国防長官が「X」アカウントで、「カタール戦闘機用の施設
はあくまで米軍の管理下にあり、他のパートナー国施設（シンガポール空軍F-15やF-16 用施設）と同様の形態」、「カタール空軍F-15Q戦闘機の恒久駐機場設置により、カタール軍戦闘機の維持運用の柔軟性を確保し、カタールと米軍間の合同訓練など防衛協力の強化と共同作戦能力の向上が促進される」と追加情報を配信しています
本件を報じる10日付 DefenseOne 記事は、「プロジェクトの範囲、費用と資金調達、そして議会の承認に関する不透明さ」を指摘し、米国がカタール政府から米大統領専用機用としてカタール王室のB-747型機を無償で譲渡された件や、9月にトランプ氏が「カタールの安全と領土を外部攻挙から守る」との大統領令に署名したことを踏まえつつ、民主党議員が「この新施設が不正な利益供
与の一環だ」と批判する様子など、更なる情報公開の必要性を指摘しています
実際のところ 2017 年のF-15Q売却に関しては公式な発表がほとんどない模様で、DefenseOne 記事は2022年の米軍機関紙的な「Stars & Stripes紙」記事から以下を引用し、同 Mountain Home 基地内に拠点を持つシンガポール空軍を含め、米国が同盟国等と締結している他の米本土での航空機訓練協定をはるかに超える大規模なものになると関連事業を紹介しています
●米国はカタールにF-15Q 戦闘機36機を「関連兵器システム、米国での訓練、保守支援機器、兵站支援」とともに売却することに合意。2022年から同機体提供開始
●Mountain Home 空軍基地内に、カタール軍用の2階建て単身寮とカタール人訓練生が同行する家族と居住可能な90戸の一戸建て住宅が建設される見込み
●これら住環境施設の他、新しい運用施設、格納庫や整備施設、更に必要な敷地面積拡大に必要な経費の細部見積もりは完了していないが、数百億円規模の大規模プロジェクトとなる
ただ一方で DefenseOne 記事は、米軍人や米文民職員1万名以上が20年以上にわたり駐留している中東最大の米軍拠点であるカタールのAl・Udeid 空軍基地の存在に言及し、「この程度の両国取り決めは、Al・Udeid 基地の重要性からして当然正当化されるべきものだ」との共和党議員の言葉も紹介しています
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カタールの面積は日本の秋田県ぐらいで、人口は僅かに30万人とのことですから、よくサッカーW杯が開催できたと思いますが、その国に1万人以上の米軍関係者が駐留する「Al Udeid空軍基地」があるのも「すごい」ことで、「カタールを外部攻撃から守る」大統領令も自然な気がいたします。
ちなみに、米本土に軍用機（F-15をアイダホ州 Mountain Home 空軍基地＋グアムにも計画中、F-16をアリゾナ州 Luke 空車基地に、更にAH-64アパッチヘリをアリゾナ州 Marana 基地に）の拠点を設けている島国シンガポールは、それでも面積でカタールの 16倍で、人口は20倍の600万人です
Al Udeid 空軍基地やシンガポール米国内施設
「Pizza Cat は無事だった！！」→https://holylandtokyo.com/2025/10/07/12333/
「グアムにもシンガポール用施設」→https://holylandtokyo.com/2024/01/09/5420/
