F-47次世代戦闘機の初号機は既に製造開始

「ト大統領在任中」の2028年初飛行に向けて
Allvin空軍参謀総長が秋のAFA航空宇宙サイバー会議で

9月22日、次の空軍参謀総長が決まったら任期半ばで(11月頃には)退任すると8月18日に公表済みのAllvin空軍参謀総長が、米空軍協会主催の航空宇宙サイバー会議で基調講演を行い、3月21日にトランプ大統領がボーイング社との契約で導入決定を発表した次世代戦闘機F-47に関し、「契約発表から半年余りで、彼ら(ボーイング社)はすでに初号機の製造を開始しており、2028年に初号機を飛行させることに全力を尽くしている」と明らかにしました

そして米空軍内外の主要関係者が一堂に会する同イベントで、米空軍トップとして残り僅かな任期の中の数少ない貴重な発言機会を捉え、「F-47は、他のシステム群(自律型無人随伴機CCAやB-21次期ステルス爆撃機にも言及)と共に、将来に渡り制空権を確保することになる」と、従来から主張している様にF-47が米空軍航空戦力を構成する「family of systems」の一つのパーツに過ぎないことを強調しつつ、

6月22日のイラン核施設奇襲「Midnight Hammer作戦」に、7機のB-2爆撃機他、計125機のF-16、F-22、F-35戦闘機や空中給油機等を投入した実績を取り上げ、「今日戦う準備態勢を確保し、将来に向けた計画をやり遂げ、攻撃を仕掛け、敵に(ボクシングの)ジャブをお見舞いするだけでなく、敵をキャンバスに打ち倒せることを見せつけなければならない」と語っています

以上が、「F-47初号機が既に製造段階にあり、2028年に初飛行を予定」との米空軍トップ発言があったとの報道ですが、引き続き情報統制が行き届いた極秘プロジェクトの「F-47」ですので、復習のため、今年3月の導入発表会見と5月のAllvin大将SNS発信情報から、まんぐーすの考える着目点のみを再度ご紹介しておきます。細部はそれぞれの発表をご紹介した過去記事でご確認ください。

3月21日の大統領発表会見より
(ト大統領とAllvin大将発言まとめ)
「ボーイング製 F-47に決定」→https://holylandtokyo.com/2025/03/24/11099/

●F-47戦闘機の各要素技術は、過去5年間の試験で確認済のもの
・(ト大統領)戦闘機のすべての性能、速度、機動性、搭載能力、ペイロードにおいて、過去にこれに匹敵するものは無い
・(Allvin)数百時間飛行して最先端コンセプトを試験し、次世代ステルス、センサー融合、長距離攻撃能力等々に関し技術限界を拡張可能なことや、かつて無く迅速に前線配備可能なことを、自信を持って確認済

●(Allvin)「適応型 built to adapt」思想で設計され。維持整備性に優れ、必要な人員やインフラも大幅に少なくて済む
●(大統領とAllvin)多くのドローンと共に飛行する設計になっている。また更に、未来を見据え、人間と機械のチームワークの魔法を解き放ち、多様な状況に対応し、高い殺傷力を発揮する

5月13日のAllvin空軍参謀総長のSNS発信
「SNSで補足説明」→https://holylandtokyo.com/2025/05/20/11601/

●Operational 2025~2029
【メディア解説】→この時期表記が「運用開始」時期か「導入開始」時期かは不明。導入決定発表時に「トランプ政権下で飛行する」と表現されたが、初飛行が「2029年1月より前」になることを示唆している
●Combat Radius(行動半徑)「1000+」nm
【メディア解説】→F-22の590nmの約2倍で、対中国作戦で長い飛行距離が求められる点に配慮。ただ、グアムから台湾の距離が1700mmで、中国大陸がそれ以上であることを考えると、依然として空中給油は必要不可欠

●Stealth(ステルス性)「Stealth++」
【メディア解説】→F-35が「Stealth」で、F-22が「Stealth+」と比較表記されていることからすると、F-47は敵防空網突破のため最新技術を導入してステルス性が向上し、維持整備負担の軽減(作戦への投入頻度増)も含め「Stealth++」と表記されていると思料
●Quantity(導入機数)「185+」機
【メディア解説】→「185」はF-22の導入機数であり、F-22の後継機と位置づけ発表された経緯や、「性能が明らかになるから非公開」と大統領が言及した価格がF-35の3倍等と表現されてきた点を踏まえ、遠慮がちに「185+」と表現したのだろう。なお、前政権で空軍長官だったKendell氏は、「他の事業を優先し、2026年度予算要求からF-47は削除する予定はずだった」と、F-47発表時に驚きと怒りを表明している
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9月22日の基調講演でAllvin参謀総長は、上記のような表面上の発表に交えて、基調講演の最後の部分で、以下のよう微妙な表現で、米空軍の置かれている状況を語っています。

「今、多くの変化が起こっている。だから、少し息を整えよう、物事を少し整理しよう、と考えのるが自然だ。重要なのは、この状況下でその先にどんな結果が待っているかを考える時、慣れ親しんだものに警戒しなければならない点だ。快適な暖かい毛布に頼ることに注意が必要だ。なぜなら、それでは十分ではないかもしれないからだ。敵がひざまずいていない以上、それだけでは十分ではないかもしれない」

「There’s a lot of change going on right now. And it’s perfectly natural to say, let’s catch your breath a bit. Let’s sort of take stock of things. But in this environment, with the consequences on the other side of it, we have to beware of the familiar. Be cautious about the warm blanket of the comfortable. Because you know what? That may not be good enough. That just may not be good enough because the adversary is not taking a knee.」

Allvin大将(輸送機パイロット)は将来に備えた米空軍の組織改革(航空団改革や装備品開発コマンドICC創設等)を追求し、戦闘機パイロット族が牛耳る米空軍から嫌われ、「追い出される」ことになりましたが、ペンタゴンでの地道で広範な仕事ぶりから、米空軍の実態把握において間違いのない視点の持ち主です

その人物からの上記発言です。拡大解釈と笑われるかもしれませんが、まんぐーすは以下のように理解しました。

「今、米空軍が長年自負してきた戦闘機による制空権獲得能力は危機に瀕し、変化が求められている。今ウクライナやイスラエルで行われている無人機による戦いを考える時、我々が追求してきた戦闘機による高高度の制空権確保は意味を失いつつある。正面から米空軍と対峙し、制空権確保が困難と判断した敵は、安価で大量導入可能な無人機を用いた攻撃に活路を求め、米空軍に迫りつつある。この攻撃に対し、米空軍は現時点で十分な対応策を持たないことを謙虚に認めるべきだ」

米空軍トップが突然退任表明
「辞任は内部要求か」→https://holylandtokyo.com/2025/08/27/12638/
「突然の辞任発表」→https://holylandtokyo.com/2025/08/20/12609/
「GAO:派遣部隊の編成問題指摘」→https://holylandtokyo.com/2024/12/24/10394/
「最大の課題はICC創設」→https://holylandtokyo.com/2024/09/03/6230/
「空軍大改革の概要発表」→https://holylandtokyo.com/2024/02/16/5579/

F-47関連の記事
「SNSで補足説明」→https://holylandtokyo.com/2025/05/20/11601/
「ロ社F-47決定に反論せず」→https://holylandtokyo.com/2025/04/25/11392/
「海軍F/A-XXや同盟国との関係」→https://holylandtokyo.com/2025/04/22/11201/
「F-47は優先度低く予算枠外だった」→https://holylandtokyo.com/2025/04/03/11185/
「ボーイング製 F-47に決定」→https://holylandtokyo.com/2025/03/24/11099/

イラン核施設への奇襲作戦
「モサドのイラン工作員採用」→https://holylandtokyo.com/2025/08/22/12500/
「15年かけた執念」→https://holylandtokyo.com/2025/06/30/12041/
「長官と議長の速報会見」→https://holylandtokyo.com/2025/06/23/11980/
「巡航ミサイルはSSGNから」→https://holylandtokyo.com/2025/07/01/12008/
「米国防省報道官会見」→https://holylandtokyo.com/2025/07/07/12091/

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