イランFordow核施設攻撃「15年以上の驚異的な準備」

2名の専従分析官が15年以上張り付き分析&兵器開発支援
一時は米国スパコンを最も占有使用した巨大貫通弾開発
数百回の各種試験やシュミレーションを伴う試行錯誤の末に
B-2操縦者「数千名の科学者や整備員や作戦計画者が集うSuper-Bowlだった」

6月26日付米空軍協会web記事が、22日のB-2爆撃機によるイランFordow核施設への12発の巨大貫通弾(GBU-57)攻撃に関するCaine統合参謀本部議長の「追加説明」を取り上げ、2006年頃からイランが計画したFordow核施設建設を、2009年から攻撃まで2名の専従分析官配置で15年間以上に渡り、その構造や攻撃手段等々を検討分析し、多くの科学者や専門家やスパコンを動員しつつ、試験を繰り返して成し遂げられた「壮大な物語」だったと紹介しています

巧く整理できていませんが、Caine統合参謀本部議長の説明を記事から「つまみ食い」紹介させていただきます

●「Operation Midnight Hammer」は15年以上前から分析官の作業に端を発するもので、決して急遽計画されたものではない。イランが同施設を建設し始めた当時から米軍が検討してきた、「如何にFordow核施設を破壊するか」との検討と訓練の賜物である
●2006年頃からイランが計画を開始した同施設の写真を、2009年に初めて目にした国防省のDTRA(Defense Threat Reduction Agency)の2名の専従チームは、建設工事、周辺の天候、廃棄物、地質、建設資材、資材の産地までも観察し、2011年頃完成した施設の通気孔、排気孔、電気系統、環境制御システムや、全ての施設形状や機器の搬入、搬出を徹底的に攻撃当日までフォローした

●DTRAチームの分析結果は、2004年頃から開発議論が始まっていた巨大貫通弾(GBU-57)関連の技術者や産業界に提供され、モデリングやシミュレーションに精通した多数の博士が、秘密裏に米国内スパコンを最も使用する団体にまでなっていた。Caine議長は説明時に、2020年実施の攻撃目標を模擬した施設への巨大貫通弾(GBU-57)投下実験映像を投影し、このような試験を何度も繰り返して改良に改良を重ねた経緯を強調した
●攻撃当日は、B-2爆撃機がFordow核施設の2つの主要換気口に各6発の巨大貫通弾を投下した。6月12日のイスラエルによるイラン攻撃開始後にイラン側が各種排気換気口に設置したコンクリート製カバーを1発目の巨大貫通弾が破壊し、その後の4発が多層構造で強固に防御された核施設を攻撃した。最後の6発目は、最初の5発の兵器故障に備えた「予備的な補完兵器」だった。

●Caine大将は、イランが核兵器開発を否定していることや、その点を指摘する専門家意見に対しシンプルに、「交通が不便で、かつ岩盤が固く採掘作業が困難な山中に、遠心分離機やその他の設備を備えた多層構造で厳重に防御された地下施設を平和目的で建設することはない」と答え、「過去1年間で、公の場で核兵器議論を避けるイラン内の何十年にもわたるタブーが崩れ、イランの意思決定機関内で核兵器推進派が勢いづいている」との、米国情報機関の議会報告も紹介した

●Caine大将は攻撃成果の評価を行うのは攻撃任務を遂行した米軍統合部隊ではなく、情報機関だと述べ、同大将の立場で把握しているのは「第一に、兵器が適切に製造、試験、装填され、第二に、兵器は設定速度とパラメータ通りに発射され、第三に、兵器全てが計画通りの目標地点に誘導され、第四に、兵器が設計通りに機能し爆発したことである」と説明し、攻撃参加機操縦者の「生涯で見た最も明るい、夜間を中間にしたような大爆発だった」とのコメントを紹介した

●最後にCaine議長は、「同作戦は、参加航空機の搭乗員、兵器を組み立て搭載した地上勤務員などの15年間にわたる努力の集大成だった」と述べ、更に「世界中の敵対勢力は、DTRAチームの他のメンバーが、今日も他の場所を調査しており、今後も続けるだろうことを知るべきだ」と語って説明を締めた
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本作戦に参加したB-2搭乗員のご家族には、攻撃が計画通りに遂行され、帰途に就いたころに連絡があったそうです。

女性1名を含む大尉から大佐までの、予備役操縦者も含む計14名のB-2操縦者(ナタンツ攻撃機も含む)の無事帰還を喜び、15年以上に渡り、その日に備えてきた多くの人々の努力をご紹介いたしました。

なお6月26日の会見で、ヘグゼス国防長官とレビット大統領府報道官はそれぞれ別の場で、「改めてFordow核施設の状況を、攻撃以前の状態から確認したが、核物質を事前に持ち出した兆候はなかった」と説明し、イラン外相は同日、「施設に甚大な被害が出ている」と認めています

米軍B-2爆撃機等による3つのイラン核施設攻撃
「攻撃当日の国防長官と統参議長の速報会見」→https://holylandtokyo.com/2025/06/23/11980/

イスラエルによる6月12日の奇襲攻撃
「潜入したモサド工作員が」→https://holylandtokyo.com/2025/06/23/11962/

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