トランプ大統領が沿岸警備隊に西太平洋でも警備強化指示

大統領令の細部内容は非公開で不明も・・・
前政権時は中国国営漁船団の違法漁業対処を強化
米国領海を超える国際海域を同盟国枠組みで

2月3日付Military.comは、トランプ大統領が就任初日から国境警備の強化に着手し、精力的に移民・亡命・麻薬密輸を取り締まる大統領令の一環として、沿岸警備隊も国境警備等の任務への取り組みを強化し、必要アセットの再配分等に取り組んでいるが、対象地域には米本土領土から離れた「ハワイ、米国領グアム、北マリアナ諸島連邦、アメリカ領サモア」など西太平洋地域も含まれており、その狙いに関心が集まっていると報じています。

メディアからの「西太平洋の島々に、何を、何の目的で増強するのか?」との質問に対し沿岸警備隊報道官は、「作戦の保全と乗員の安全確保のため、任務強化やアセット増強の具体的な詳細は提供できないが、我々は引き続き完全に作戦を遂行し、任務に全力で取り組む」とのみ回答していますが、記事は前トランプ政権時から始まった「中国国営漁船団による国際海域での違法な乱獲」から漁業を守るため、太平洋諸島諸国と協力する政策の一環だと解説しています

沿岸警備隊はその名の通り、基本的に米国領海内での活動権限を有するものですが、任務上の必要性から国際水域でも頻繁に巡視を行っており、西太平洋地域では複数の地域諸国で構成される中西部太平洋漁業委員会の加盟国として、自国海軍や沿岸警備隊を持たない多くの太平洋島しょ加盟国の職員を米警備隊艦艇に同乗させ、船上での立ち入り調査や現地の法律や規制の執行を行う法的権限を確保し、また環境規制違反の有無を確認する権限を行使しています。

トランプ政権は前回の政権時にこの取り組みを強化し始め、沿岸警備隊も2020年に「違法漁業が公海上の海賊行為を上回り、海上での最大の世界的な安全保障上の脅威になった。違法漁業は沿岸地域の経済と食糧の安全保障を不安定にし、他の形態の犯罪や汚職を助長する」と宣言し、新たな艦艇の配備を進めて来たということです。

ただし記事は、トランプ政権の気候変動への姿勢を懸念し
●トランプ大統領は繰り返し気候変動を「でっちあげ」と呼び、バイデン政権が過度に追求してきた環境規制を撤回し、再生可能エネルギー計画を削減し、石油増産を宣言している。
●しかし、太平洋島しょ国は「異常気象」や「海面上昇」の脅威を「今そこにある危機」として対応に追われており、米国がこの地域で真に受け入れられるには、気候変動対処に関与する必要があるだろう
●トランプ政権が島嶼国の気候変動懸念を真剣に受け止めなければ、中国が地域に食い込む可能性を高め、米国の関与を冷笑的に見る国の増加を助長することになろう
/////////////////////////////////////////////

「米国ファースト」を掲げるトランプ大統領ですから、西太平洋での中国による違法な漁業取締りも国益追及のための一環とも言えますが、米本土から遠く離れた西太平洋までカバーする意気込みや素早い取り組みには頭が下がります。

とはいえ広大な西太平洋での違法操業対処は大変な労力が必要ですから、日本も一役買いたいものです。ただ現在の真っ赤な石破政権では・・・

太平洋の島々関連の記事
「日本やグアムの滑走路には期待できない」→https://holylandtokyo.com/2025/01/06/10547/
「夏の太平洋演習REFORPACは史上最大規模」→https://holylandtokyo.com/2024/11/13/6465/
「ミクロネシア3国と米の協定COFAピンチ」→https://holylandtokyo.com/2024/03/13/5623/
「中国とソロモン諸島の安保協定案リーク」→https://holylandtokyo.com/2022/04/11/3119/

世界の安保・軍事情報を伝えたい ブログ「東京の郊外より」支援の会
米国を中心とした世界の軍事メディアが報じている、世界の標準的な安全保障情報や軍事情報をご紹介するブログ「東京の郊外より・・・」を支援するファンクラブです。ご支援お願いいたします。
ブログサポーターご紹介ページ
お支援下さっている皆様、ありがとうございます!そのお気持ちで元気100倍です!!!●赤ちょうちんサポーターの皆様(3000円/月)●ランチサポーターの皆様(1000円/月)mecha_mecha様kenj0126様●カフェサポーターの皆様(...
タイトルとURLをコピーしました