納入1年遅れF-35でもあまり心配してない模様
海上任務能力不十分な F-35より高稼働FA-18が好きそう
もちろん、前線部隊の海軍大佐である同基地司令官が本音を赤裸々に語るはずもなく、その辺りは斟酌して記事を見る必要がありますが、TR-3 完成版未搭載のF-35受領で国防省が渋々妥協した中にあっても、2つのF-35C 飛行隊、1つのF-35B 訓練飛行隊、2つのFA-18C 飛行隊を配下に置き、その2個 FA-18を2030年までにF-35C型に置き換える「目標は変わっていない」と落ち着いて語っている様子が印象的です
第11海兵航空群司令官のWilliam Mitchell 大佐は・・・
●同基地のF-35C 飛行隊VMFA-311は、数か月前にF-35を10機全機入手する予定も、現在は4機不足状態で、最初のTR-3機を入手するのは5月頃の予定だが正確には不明だ。ロッキード社には計画通りの納入をお願いしたいが、遅延で若干の影響が出ているが、移行計画全体を延長するような「波及効果」は必ずしもない。
●飛行可能なF-35 機数が少ないのは確かだが、保有6機は現場で安定しており、部隊では十分に質の高い訓練ができている。保有 F-35 は信頼性や耐久性に優れている。ただ、TR-3開発試験の世界は別で、遅れている部分について話すことはできない
●海兵隊の2022年計画では、年間約20機の割合で、合計 67機のF-35Cと353機のF-35B を導入予定で、更に海兵隊は1個飛行隊のF-35 機数を2030年までに10機から12機に増やす計画だ。ただし、2024年末までに発表予定だった新航空計画の公開は遅れている
●海兵隊はF-35への更新を進める一方で、残存するFA-18にも、米海軍が導入開始している APG-79 (AESA)レーダー搭載を計画し、また見通し外通信装置や改良GPS システムの搭載を予定してFA-18の能力維持向上にも十分配慮している
●FA-18 は退役航空機の部品を活用可能なことから、機体年齢は古いが稼働率が高く、同機種の即応態勢は私が長年見てきた中でも最高の状態で、操縦者は多くの飛行時間を享受している。F-35への不確実要素もある移行期にあって、FA-18戦力の充実はとても大きな意味を持っている
●また、FA-18は海兵隊航空部隊にとって「スイス・アーミーナイフ」のような万能ツールで、F-35の未成熟な海上攻撃能力を補う能力をFA-18は持っているが、一方で敵の脅威に対する生存性は F-35の方が高いので、F-35が脅威を緩和してFA-18の活躍の場を広げるようなイメージで両機種は互いに助け合う関係にある。
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米空軍の戦闘機には厳しいのに、なぜ海兵隊の戦闘機には甘いのか・・・と言われそうですが、米海兵隊は米軍の中で一番にF-35を導入開始して運用体制を確立し、上記のように多少の遅れはあっても 2030年頃には調達を完了します。
また、海兵隊はFA-18の取り回しも巧みで、F-35へのバトンタッチにも余裕がうかがえます。これは海兵隊の首脳陣に地上部隊出身者が多く、少し引いた立場で、航空アセットに関しシンプルで常識的な判断が出来ている証拠でしょう。
これに比べて米空軍は、だらだらと煮え切らないままにF-35 調達を細く長く引き延ばし、当初の 2030年代後半調達終了から、今では2049年まで・・・とか言い始めるグダグダです。
F-35 を巡る米空軍と米海兵隊
「米空軍:F-35導入機数は予測不能」→https://holylandtokyo.com/2024/12/24/10504/
「空軍は導入ペース低下で調達10年以上延長」→ https://holylandtokyo.com/2024/11/25/6327/
「海兵隊 F-35 が米軍初の運用体制確立」→https://hoylandtokyo.com/2021/07/15/2001/