今次の国際金融危機の中にあっても、比較的傷が浅いと考えられてきたアラブの大富豪に破綻するものが初めて出ました。
なんと言っても日本はエネルギー資源の約9割を、アラビア半島の湾岸産油国から輸入しており、Holylandも当地域の経済や安全保障に注目しておりますが、なにぶんにも取っつきにくい地域。そんな地域経済を長年の勤務経験から連日解説してくださるのが元石油マン前田高行氏です。同氏のブログ「アラビア半島定点観測」(6月14日)よりの紹介です。
http://ocin-japan.blog.drecom.jp/ また同氏は、「アラブの大富豪」との本を新潮新書から出されています。ちょっと軽めのタイトルですが、中身は歴史的経緯から現状までを親身に記述されており、今次の経済危機以前に出版されていることを除けばおすすめの一冊です。
前田氏によれば、アラブの大富豪は「地下資源から得た資金を元にしている場合が多く、欧米とは異なり負債を負って事業を行ってるケースが少ない」、また「オイルマネーがあふれるイスラム金融からの資金調達も多く今次経済危機の影響も軽微」。一方で「負債や一般からの資金調達が少ないため、資産の運用状況を公開していないケースがほとんど」の大富豪がアラブには多く、被害程度がわからないのも事実だそうです。
破綻したサウジアラビアの実業家Maan Al-Saneaは経済誌Forbesの富豪ランクで100位以内が常連の不動産・金融業者だったようですが、サウジを中心とする湾岸地域の銀行から取引中止になったようです。
前田氏はこれまでの「アラブの富豪だけは大丈夫」との見方が一部のアラブには当てはまらないことを素直に認め、今後も注意深く分析を続けるとのこと、期待しております。
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