アジア安全保障会議、通称シャングリラ・ダイアログにおけるゲーツ米国防長官の発言で、気になったところを拾ってみました。少し長くなりますが・・・
(冒頭のジョーク)
昨年のこの場では、米政権が選挙によって変わっても米国のアジアへの基本姿勢は継続性を保つと言ったが、私自身がその継続性を体現して留任するとは思わなかった・・・。
(日本と韓国に対し、)
両国と米はパートナーとして適当であるよう調整を続けてきた。しかし、依然として、パートナーとして準備し、全ての、くり返すが、同盟国としての全ての義務を果たすことができるパートナーでなければならない。
(質疑応答:中国は米ロの核削減の影響を受けるか?朝日新聞論説委員の質問)
将来的にはその方向が望ましいが、米ロが他の保有国に比して大量の核兵器を保有していることから、まず米ロがリードしなければならない。
(質疑応答:六カ国協議の評価)
現時点では期待されたような成果が出ていないかもしれない。六カ国協議の大きな利点の一つは、ロシアと中国を北朝鮮に関する安全保障議論に関与させることであり、ここから撤退することに利はない。
(質疑応答:日本の核武装の恐れを感じないか?)
現時点でその可能性は遠い(remote)。それは彼らの考えることであるが。
(質疑応答:北朝鮮の核能力は米国への直接脅威か?)
現時点で北朝鮮の核計画が米への直接的脅威とは考えていない。
(質疑応答:イラン政策に関し、)
北朝鮮と比較すると、タフな経済制裁はイランに対しはるかに効果的な結果を生むであろうと考えている。
(質疑応答:イランのアフガンへの影響と核の脅威ではどちらが大きいか?)
イランの核開発への懸念が遙かに大きい。
(参考になる言葉の引用:テロとの戦いの定義や認識についての抽象的な質問に対し、)
トロツキーの言葉:You may not be looking for war, but war is looking for you.
(Holylandの個人的コメント)
本会議の主催者であるIISSのChipman博士は学者と言うよりも、会議を通じての金儲けを考える人種で、相当うさんくさい人物らしいです。一方で、ゲーツ国防長官は好きです。もちろん発言で厳しいものもありますが、心の奥底にある深い人間性を感じます。またCIAでの30年以上の勤務で培ったと思われる、慎み深さにもしびれます。
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