6月号の「外交フォーラム」の座談会の中で、「エネルギー問題を政治的に考えすぎる人が多すぎる」との意見を掲載されている人がいます。発言の主は、本村真澄・石油天然ガス金属鉱物資源機構主席研究員(東大→石油公団→オックスフォード大研究員 58歳?)です。
座談は中央アジアを見る視点について議論していますが、中央アジアのエネルギー資源を巡る列強のせめぎ合い的状況の議論になった際の発言に、
●今は帝国主義の時代ではありませんから、地域を囲い込んで資源を独り占めするなど出来ません。石油に対しては軍事力は無力であり、ビジネスの論理が貫徹しています。
●アゼルバイジャン沖合油田の10%を持っていたロシアの会社が感情的な決定で日本に株を売却したこと等をさして政治的に議論されますが、ビジネスのルールに沿った一連の手続きを経てのことであり、米ソ対立の構図で騒ぎ立てるのははエネルギー問題を政治的に考えすぎている人達のすることです。
●また他にも米国が反露的なパイプラインを進めているとの議論がありますが、経済的には成り立たない計画であり、産出元のアゼルバイジャンはもっとも経済性の良いところに販売すると言っており、大国といえども経済合理性を無視することは出来ません。
●(石油開発に日本が努力しても、最後に中国などにさらわれるのでは?との問いに対し)誤解を解いておきたいのですが、中国はお金を出して正当な手続きで買っているのです。(周辺の事象がおもしろおかしく描かれすぎです。)日本は全体のパイを広げる努力をして日本の利益につなげるべき。
「外交フォーラム」は事実上外務省が監修しているようなものですから、そのあたりを踏まえて考える必要がありますが、同じ記事の中で元イラン駐在大使が「米はイランとの対決のほうが、アフガニスタンより重要と見ている」「米は(イランに関する)強硬な(情報評価)報告書を出せる人を国家情報委員会のトップに置いている」と発言し、他の人がドン引きするような場面も掲載されており、幅広い意見の方をカバーしているようです。エネルギーについてはHolylandも慎重に見た方がよいかもしれないと思いました。
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