米政権による東欧MD計画の変更発表を補足説明する意味で、最近の米ミサイル防衛長官の発言を再録します。今考えれば「のろし」だったのか・・・
8月27日、米ミサイル防衛庁長官オライリー陸軍中将(Patrick J. O’Reilly)がインタビューに答え、弾道ミサイル防衛の将来について胸を張って答えました。核態勢見直し(Nuclear Posture Review)とも密接に関わっていることから注目が必要です。米国防省HPhttp://www.defenselink.mil/news/newsarticle.aspx?id=55649 より
●高い試験成功率
これまでの45回の迎撃試験のうち39回に成功し、ここ数年では一回の製造ミスによる失敗を除き、すべての試験に成功している。失敗の原因だった箇所はすべて修正を完了した。
海外の展開地で十分なミサイル防御能力がない場所へ、航空機や巡航ミサイル対応と同等の弾道ミサイル防衛能力を与えたい。
●THAADに関して
来年にも配備を開始する。予定の8回の試験のうち7回をすでに完了し、今後配備に向けて900億円の予算を投入する。また陸軍は本システム用の新型レーダーを受領することになる。
●海軍のSM3に関して
すでに改良型のSM3が配備され、昨年は衛星迎撃能力も実証した。来年には第2世代のSM3を投入する予定。また今後イージス艦を6隻増強し、防御可能エリアの拡大を目指す。これらを総合して、射程3000km程度までの弾道ミサイル防衛態勢を付与する。
●衛星によるミサイル誘導
来月2基のデモ衛星を打ち上げ、衛星同士が会話するように他のセンサーの情報を遠くへ伝える試験を行う。2012年までには、イージス艦が発射した迎撃ミサイルをイージス艦のレーダー覆域外の目標へ導く試験を、衛星を使って行う。予算として8000億円を計画している。将来的には衛星を増やし、衛星が世界中をカバーしてミサイル防衛網を構築することを考えている。
●複数ミサイル・多弾頭目標への対処試験今後5年間で、対処試験を56回計画している。全太平洋地域を使用し、衛星、無人機、艦艇および地上レーダーを総合活用した試験となる。(以上再録)
このほかに、9月17日のゲーツ長官とカートライト統合参謀副議長による説明会見では、2018年以降に、よりサイズが大きく能力が高いSM3のBlockⅡを艦艇と陸上に配備し、更に2020年には大陸間弾道弾ICBMにも対応できるSM3のBlockⅡBの配備までを念頭に置いているそうです。SM3のBlockⅡの開発に日本が協力していることを国際協調の証として副議長が会見で評価しています。陸上システムより安いとも述べています。
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