昨日もご紹介したように、オバマ大統領の新アフガン戦略はアフガン軍や治安機関をいかに早期に育てるかに掛かっています。この点はイラクでの現在進行形の経験からも明らかなようで、早くからゲーツ長官の念頭にあるようです。このため、昨日のアフガン首脳への本件念押しと共に、アフガン軍の訓練に当たる部隊や兵士の激励を積極的に行っている様子が伝えられています。(写真上:アフガン軍ヘリ部隊視察 写真中:訓練を支援する米兵士と朝食)
ゲーツ長官は本年1月・2月号のフォーリンアフェアーズ誌で、「敵を撃破殲滅するために訓練していた軍隊が、相手を説得して(反政府活動を)思いとどまらせ、地元の治安機関を育成する任務に迅速適切に適応できるだろうか」と述べて、これまでの軍の訓練体系の変更する必要性を説いています。
また、「海外の軍に助言して訓練し、装備品を提供するような重要な任務が、米軍内の優秀と目される幹部にとって、キャリア管理上魅力無いものと見なされているのではないか」と同誌の中で述べ、「助言支援」の任務をキャリア上でも重みのあるものに変えようとしています。
具体的施策としては・・・
●外国部隊の育成
例えばAAB(advise and assist brigade)、つまり「助言支援旅団」と仮訳させてもらいますが、その名の如く外国部隊を教育訓練して一人前にするための部隊です。本年10月5日、ゲーツ国防長官は陸軍協会総会でのスピーチで、「通常旅団の変換により、僅か数ヶ月で助言支援旅団が編制されたことに感銘を受けた」、「来年末にはイラク展開米軍のほぼ全てがAABに成るだろう」 と述べてい
るように、今後米陸軍の主要な勢力に成るかもしれないのがAABです。これは、敵を撃破するために訓練してきた軍の概念を大きく変える動きです。
米空軍に関しても、「米空軍は、安価に現地の輸送・偵察・CAS能力を向上させることを考えており、軽戦闘機(light fighters)と輸送機部隊の展開を含まれる予定である。そしてそれらの装備は支援対象国が使いこなせて購入可能なものである」とゲーツ長官は述べています。
米空軍に対しても「F-16では(外国部隊の)訓練や助言は出来ない。練習機や軽攻撃機を購入して使い方を展示し、パートナーが望む装備やスキルを伝授すべきである」との意見がある模様です。具体的には、2010年度予算案に特殊任務用ターボプロップ機LAAR(Light Attack/Armed Reconnaissance)開発予算を要求し、現地に展開、展開先部 隊の訓練にも使用との狙いかもしれません。
●人材の配置と経歴管理
「米空軍が空軍アドバイザー(養成)プログラムを創設し・・・」とこの方面での米空軍の取り組みを賞賛しています。具体的人事では、例えば、本年8月末に太平洋空軍司令官から空軍副参謀総長へ栄転したチャンドラー空軍大将は、湾岸戦争後の1992年から約2年間、サウジ空軍のアドバイザー長を経験した方です。栄転の背景は不明ですが、偶然とは思えないタイミングです。
アフガン兵士はこれをどのように見ているのでしょうか?ゲーツ長官の儀仗を行った兵士の視線が印象的です。部隊育成は難しい・・・127人が死亡、約450人が負傷した連続自動車爆弾攻撃をめぐり、イラクのヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相は9日、治安部隊司令官を更迭しました。時代は激しく変わってゆきます・・・足踏みしている場合か?
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