オバマ大統領が新アフガン戦略を発表した翌2日、上院軍事委員会での証言(写真上)に臨んだゲーツ長官は、彼らしく率直に訴えました。
同じ失敗は繰り返せない。タリバン・アルカイダの完全撲滅が目標ではない。アフガンを西側スタイルの国にするのが目標でもない。・・・等々、より現実的なステップを示し、えん戦気分高まる米国世論へ支持を訴えています。
正直なところ、アフガンに米軍が存在するだけで部族から反感を買う、との見方が地域研究者の代表的な見方であり、見通しは明るくありません。
先週、就任後3年を経過したゲーツ長官の証言として記録することにします。
●なぜアフガンが重要なのか
アルカイダやその支援者が世界各地で活動しているが、アフガン地域は他とは全く異なる意味を持っている。それは、ジハードを訴える過激派にとって、この地が超大国(ソ連)を破り、その崩壊をもたらした記念碑的場所だからである。彼らにとって、同じ場所で残りの大国(米国)を破ることは、米国と他国にとって厳しい結果を招くことになる。ベトナム戦時の「ドミノ理論」との類似を主張する人がいるが、我々は現実の歴史的経験を最近した。ソ連の最後の戦車がアフガンから去って、5年も経過しない内にワールド・トレードセンターは最初の攻撃を受けたのである。同じ失敗は繰り返せない。同地域が過激派に支配された無政府状態になり、米国が影響力を失い、何が起こっているか解らないような状態にすることは受け入れられない。
●全体戦略と実施事項
大統領の戦略目的は、タリバンの勢いを押さえ、アフガンの人々が自らが治安と国土の安定に取り組めるような時間と空間を与えることである。そのため我々は軍民が一体となって6つの主要事項に取り組む。①タリバンの勢いを殺ぐ ②人口密集地やインフラや産業基盤へのタリバンの接近を拒否 ③タリバンと国外聖域との断絶 ④アフガン治安機関が対処可能な程度にタリバンを弱体化 ⑤アフガン治安機関や軍を育成し18ヶ月以内に任務以降を開始 ⑥アフガン政府の重要省庁の構築(写真中:アフガンでのマスコットCookie)
●いくつかの特徴的な言及
・このアプローチは終わりのない国家建設ではない。アルカイダの妨害・解体・破壊のため、アフガンの能力強化に直結し、絞り込んだ明確で目に見える目標を設定している。
・治安権限をアフガンに委譲し米兵力を削減した後も、米国はパートナーとしてアフガンの発展を支援し続ける。1989年の失敗を二度と繰り返さない。
・パキスタンのタリバンは、アフガンのタリバンやアルカイダと共謀し、核保有国であるパキスタンで爆弾テロを行っている。(このような危機の中でも)多くのパキスタンの人々は米国が信頼できる長期的なパートナーかどうか疑っている。我々はこれを変えなければならない。
いずれにしても「サイは投げられた」のです。新戦略発表前の段階で「一端大統領から指示が出れば、敬礼してその場を立ち去り、直ちに実行に掛かるのみ」と言っていたゲーツ長官ですが、すでにアフガンへの機中(米時間7日)で記者の質問に答えていたのでした。
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