ゲーツ長官がアフガンとハイチとインドと中国を語る

gatespressc.jpg19日にインドへ向かう機内で行った会見と、20日にアントニー国防相(写真中)との会談を終えた直後の記者会見から、最近の情勢についてゲーツ長官が語った内容を紹介します。必ずしも時局に直結する発言を取り上げたわけではありませんが、ゲーツ長官の現実を直視した率直な言い振りに注目しました。
●会見冒頭のジョーク(19日)
08年にインドを訪問した際は、直前にワシントンで氷に滑って片腕を骨折した状態だったが、今回は両腕が使える。2つの翼で羽ばたきたい。
●18日のガブール中心部での大規模戦闘
このような攻撃は最近数ヶ月イラクでも見られる。イラクではアルカイダが行っているが、彼らが行いうる唯一の攻撃手法である。彼らは既に定期的に攻撃を実行するだけの資源を有していない。時々、目立つように行うことだけが可能なのである。アフガンのタリバンが、イラクのアルカイダと同じような綱渡り状態だとまでは言わない。申し上げたいのは、このような戦いでは、あのような目立つ攻撃は一つの戦術であること、そして全ての場所に完璧なセキュリティーを確保することは困難であること、である。
●ハイチの状況と米国の活動
国連とMINUSTAH(国連ハイチ安定化ミッション)がリードし、米軍はその活動をサポートしている。治安に関し、地震発生後の物資不足から人々が暴力行為に走ることを憂慮するが、過去48時間の状況を見れば、地震発生以前より暴力事案は減っている。地上交通の寸断が問題で、約200万人の人々をヘリコプターの輸送力だけで支えるという現状は厳しい課題である。
(米軍の態勢や行動に満足しているか、との質問に)スマトラでの津波対応、パキスタンでの地震対応、ハイチでのハリケーン対応と経験を積み、それぞれに全く異なる環境下であったが我々は学んできた。率直に申し上げて、世界中で米国軍より適切に対応できるものがいるとは思わない。ハイチの人々が満足しているは誰も思わない。一方で、米国がこれ以上なにが出来るか思いつかないし、早くできたとも思えない米政府だけでなく、多くのNGOや医療関係者が救援に駆けつけていることを誇りに思う。
gatesIDM.jpg●インドとパキスタン
インドと通信相互運用性とセキュリティー協定を締結した。同様の協定を、米国は10ヶ国以上と締結しており、アジアの他国とも結んでいるものである。これは新たな兵器や装備の提供を意味するものではなく、例えばインドが購入を決定したC-130Jsに対し航法や目標評定等の新たな能力を付与するものである。
この地域一帯で活動し勢力を伸ばしつつあるアルカイダの種々のグループはタリバンとも関係を持ち、アフガンやパキスタンだけでなく、本地域一帯、つまり挑発的なテロ活動によりインドとパキスタン間に紛争を誘発しようとしている。我々は協力して対応しなければならない。
●中国に関し
gatesTMA.jpg中国に関して長くは話せなかったが、我々の立場を説明した。対話の継続が重要であると。
私は旧ソ連と長年にわたって戦略兵器交渉を行った。同交渉が兵器の削減に繋がったかどうか自信はないが、交渉を通じての率直な意見のぶつけ合い、核兵器自体やその近代化に関する議論は、冷戦期間中にわたり2大大国間に誤解が生じることの防止に大きな役割を果たしたと考えている。
ソ連との戦略兵器削減交渉の記憶が、中国との軍事交流の背景にあったんですね・・・・。具体的な直接的成果を、最初からあまり期待していないところがチョット切ないですが。

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