月間情報誌フォーサイト3月号に「忘れられている日本の弱さ」との一文を寄稿し、ゲーツ長官の「凄み」と日本の安全保障上の「弱み」を判っているのか・・・と今の日米関係を嘆いておられる元空将・織田邦男さんの主張の一部を紹介します。織田さんは、航空自衛隊のC-130輸送機がイラク空輸で派遣されていたときの防衛大臣直属の指揮官として運行を指揮された方だそうです。
その際の体験談は→http://www.kokubou.jp/news-46-1.html
上記短文はゲーツ長官の昨年10月の来日時の発言を巧みに引用しています。各種会談を終了した後、防衛省の講堂で日米共同国防相会見に望んだゲーツ長官の発言
●私は93年に政権を離れ2006年に復帰しました。この13年間で本当に一つ気づいたのは、日米関係は大変改善された、米日同盟は13年前と比べて大変緊密になってきたと言うことです。
●軍事的な観点からは、同盟の一番の目的は日本の安全保障を確保することだと思います。この防衛の傘は日本を50年間守ってきました。お陰で日本の防衛予算はGDPの約1%であることを可能にしています。
話は前後しますが、93年にCIA長官を退任して政権を離れた当時は、日米関係が「数値目標」「ジャパンバッシング」で殺伐としていたときで、当時のゲーツCIA長官も92年1月の会見で・・・
●これまでCIAの活動は対ソ監視に重点を置いてたが、今後は全力を挙げてその情報収集と諜報活動の狙いを米国との経済及び技術競争の相手国に向ける。
と明言し、「日本やドイツを冷戦の勝利者」とするクリントン政権を支えた実績があります。
織田氏は、「日米同盟は米国にとってはone of them、しかし日本にとってはone of allつまり死活的である。自国の弱さを自覚し徹底的にリアリズムを追求する以外に日本の生き残る道はない。求められるのは米国を活用する「活米」の知恵なのだ」と喝破しています。
これだけお話しすれば織田さんの示唆する「凄み」を判っていただけたでしょう。それでは追加で、日本訪問の後、昨年10月21日午後、日本のようにアフガンにお金が出せない韓国に対しては、・・・
●(米韓兵士を前に)過去のベトナムやイラクへの派兵は、米国のための様に感じられる。しかし今や、韓国が世界的に活動することは朝鮮半島防衛の義務と一体である。共に行こう(We go together)」
つまりアフガンに派兵せよ、です。厳しいです。当然国防費の増額も要求しています。そして韓国外交通商省は10月30日、アフガニスタンで活動する韓国人民間要員の警護を目的に、アフガンに軍部隊を再派兵すると発表しました。2010年春ごろまでに開始し、200~300人規模になる見通しです。
(写真上は11日UAEアブダビ皇太子と会談するゲーツ長官。皇太子は日本大好きで、日本の小学校中学校をUAEに誘致すべく奔走されています・・・。写真下は9日キー・リゾルブ演習参加の米韓兵士)
個人的にはゲーツ長官を敬愛しつつも、こわい人ですよ。ほんとに。
「嘉手納から有事早々撤退?」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13
(付録)
「Air-Sea Battle Conceptの状況」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-23-1
「QDRから日本は何を読みとるべきか(Ver.1)」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
「米の対中国新作戦は「Joint Air-Sea Battle」」)
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
「Joint Air-Sea Battle Conceptは平成の黒船」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-09
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「Anti-Access環境への対応コンセプト」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-03
「(Ver.2)QDRから日本は何を読みとるべきか」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-01-1
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