ヤフー日本語版にこんな記事が・・・
11日、カーター国防次官(調達技術兵站担当)は上院軍事委員会で、開発中のF-35の価格が、当初の見積もりの約2倍になり、1機平均約72~86億円になる見込みだと証言。国防省は、開発当初、調達単価を5000万ドルと見込んでいた。
また、カーター次官は、空軍がF-35を実戦配備できる時期は、予定より3年襲い2016年になるとの見通しも示した。(以上記事)
以下は背景記事です。ご参考まで。
3月3日付Jane’s Defense Weekly誌が、「F-35の開発の遅れはソフトウェア開発の遅れが原因」とするロッキードマーチン社担当副社長の発言(2月19日の空軍協会関連行事での記者会見)を掲載していますので紹介します。記事はCaitlin Harringtonの「Software problems at root of F-35 JSF delay」です。
Steve O’Bryanロッキード社F-35顧客対応副社長の発言要旨は・・・
●ソフト開発の遅れが、システム開発デモンストレーション機(SDD)の提供の遅れに繋がっている。当該ソフトがないとフライト試験が出来ない状況である。
●ソフトが準備できていない状況ながら、機体自体の生産は予定通り進んでいる。
●我々はソフト開発の遅れを取り戻すため資金を投入している。約180億円をミッションシステム・ソフトの試験ラインへ、約270億円を試験にあたる人員増強に当てる予定。
別のロッキード社関係者は・・・
●2013年予定のフライトテスト終了が2014年になり、関連書類業務が2014年予定から2015年に遅れる。
●(現30ヶ月の遅れを13ヶ月にするが)13ヶ月の遅れの中で、3~6ヶ月の遅れはソフト開発の遅れに起因し、残りがSDD提供遅延から来るテスト飛行の遅れによるものである。
ゲーツ国防長官は「生産のための資金をソフト開発に回せ」(恐らく会社持ちで・・)と激怒のようですが・・・上記のような様子です。結局の所、2012年に予定されていた最初の海兵隊F-35部隊の運用開始は何時になるのでしょうか?
この遅れが判明する前の段階ですでに・・
●全軍種の戦闘機数は現在の3264機から、2018年には2883機まで減少し、2020年には回復して2929機になります。
●米海軍は2016~2020年の間に戦闘機不足に見舞われます。現在11隻の空母に対し、10個航空団を維持してローテーション対応していますが、FA-18の退役に伴い、継続的な運用に必要な1航空団44機態勢を維持できなくなります。後継機のF-35を海軍が受領するのは海兵隊や空軍の後になるため、不足が生じることになります。緊急避難的な措置案として、1機当たり約20億円の延命措置やスーパーホーネット買い足し案があるようです。
●米空軍では日本で言う対領空侵犯措置(米ではASA : Air sovereignty alert mission)の維持が危機に瀕しています。原因は、ASA任務に就いている州空軍(ANG : Air National Guard)の大部分のF-16が2018年までに退役してしまうことにあります。現在の計画では、州空軍が後継機であるF-35を受領できるのは2020年代初頭以後で、このままでは機数不足になります。
遅れているうちに、戦闘機が不足していても何にも問題無い状態が数年続き、ほんとに戦闘機いるの?との声が出そうです・・・。
(付録)
「どんな兵器を:Anti-Access環境対応」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-04
「Anti-Access環境への対応コンセプト」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-03
「QDRから日本は何を読みとるべきか」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
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