Voice3月号に上野泰也・みずほ証券チーフエコノミストが、オーストラリア経済が調子のよい理由について説明し、日本経済への警鐘を鳴らしています。
豪と言えば資源があるために今回のリーマンショックを比較的軽易に乗り越えたような印象を持っていましたが、それだけではないとの説明です。
みずほ証券の上野氏によれば・・・
●豪の実質成長率は、1.5%(09年度)→ 2.75%(10年度)→ 4%(11年度)と好調
●出口戦略を模索する欧米日諸国が利上げを行えない中で、豪は昨年10月から3ヶ月連続で利上げを実施した。
●豪中央銀行総裁の講演によると、豪金融機関のリスクを取らない安定経営、豪企業のバランスシート上の保守的な経営をその好調な背景に上げ、更に人口増加率が高い水準にあることを上げている。
●人口増が経済に及ぼす影響が興味深い。09年の人口増加率2.1%は、自然増が34%で、そのほかは移民によるものである。
●移民は生活を立ち上げ、家を必要とし、家具や電化製品を買う必要があるから需要を生み出す。同時に生活向上のために勤勉に懸命に働いて供給側でも貢献する。
●移民は子供を作り需要を生み出し、行政はインフラ整備を行う。ローンの需要は負担ではなく、不動産開発業者に資金が回るかどうかの、健全な経済政策上の課題である。
●このようにして豪経済は均衡拡大をはかれる形を保っている。
このように豪経済の状況を描写した後、上野氏は日本の経済運営がデフレ対策が明確でなく、景気刺激策が総花的であると指摘、そして・・
●(JPモルガンCEOと仏知識人アタリ氏が日本の新聞雑誌に寄稿した主張の共通点として・・・)両者に共通するのは人口減少への対応の重要性である。
●更に突き詰めると両者に共通するのは、出生率を上げるか、移民を積極的に受け入れるかどちらかしかない。
上野氏はどちらを選択すべきかについて言及を避けているが、豪の例を説明した流れからすると、移民政策の再検討を示唆しているのでしょう。
日経ヴェリタスのPODCAST番組で、株式部長の井上さんが「日本とブラジルとの移民を通した特別な関係を考えれば、ブラジル移民の受け入れをもっと積極的に考えるべきでは」との主張をされていましたが、一考の余地がありそうです。
(付録)
「QDRから日本は何を読みとるべきか」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-07
QDRにおける対中国の新作戦構想に関する部分(Holyland推定)
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-05
「Joint Air-Sea Battle Conceptは平成の黒船」
→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-09
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