3か国政府機関と3か国企業連合間の正規開発契約が未成立の異常
英の資金繰り目途が立たず、6月末までの暫定契約でしのぐ苦境
昨年締結予定の正規契約が出来ない迷走巨大プロジェクト
当事者たちは「史上初の」「重要な第一歩」と自画自賛も・・・
英国の防衛投資計画DIP直近4年で5.4兆円不足の崩壊状態の中
開発事業請負契約の遅れで、これまで各国は担当分野の開発事業に、それぞれ別々に資金拠出してきましたが、とりあえず6月末までの3カ月間は、3か国政府間で決定している開発枠組みである「3国政府機関連合GIGOと3国合弁企業Edgewingとの開発事業請負契約」により進められ、暫定契約により確保された6月末までの「猶予時間」を使って、正式契約不成立の根本原因である「英国の資金調達難」問題を解決してもらおうとするものです
問題先送りの「暫定契約」だが関係者は「建前上」の喜びを表現し、
●3か国合同政府機関GIGO(GCAP International Government Organisation)のトップである日本人の岡正美氏は、「今契約はGCAPの重要な節目。これまで3カ国がそれぞれ別々の契約に基づき行ってきた活動を、今後は本格的な国際プログラムの一環(as part of a fully-fledged international program)として実施することになるからだ」とコメント
●3国合弁企業Edgewingの報道官は、「契約締結により、Edgewingは企業リーダーとして、本計画推進の権限を完全に獲得。最優先事項は、開発業務が計画マイルストーンを確実に達成し、事業が予定通り継続拡大することだ」、「戦闘機開発の責任が、新たな国際的なPrime請負業者に完全委託されるのは歴史上初で、我々は責任完遂に向け全力を尽くす」とコメント
ただ本件を報じる同日付Defense-Newsは
●暫定契約は、英国の国防投資計画DIPの不確実性が続き、GCAP資金調達遅延に対する懸念が高まる中で締結された。
●英国の財政難と英国の国防投資計画DIPにおける280億ポンド(約5兆4000億円)の資金不足が報じられる中で、開発の全期間を対象とする正式契約の目途が立っていない。
●GCAP計画には暗雲が立ち込めており、日本当局はGCAP納入が計画の2035年から遅れることを懸念している。
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「まんぐーす」が調べた範囲では、英国防投資計画DIPにおける「280億ポンド(約5兆4000億円)の資金不足」とは、DIPの中の今後の直近4年間を対象とした不足分で、4年間のDIP必要経費の30~35%もが不足している「破局的状況」です。
英国の財政状況全体を眺めても、「経済成長率の低迷」「財政赤字の圧力」「社会保障費等の他省庁支出増」により極めて深刻で、政権がコロコロ変わる政治的不安定の大きな背景となっており、国防費だけを大幅に増やす政治的余地は極めて小さい(実質ゼロと思料)状況です。
DIPの中身を見ると、「核抑止体制維持用経費の爆増(SSBN更新)」、「海軍攻撃原潜や陸軍防備の更新」、「ウ露戦争教訓を受けた対ドローン対電子戦対サイバー戦用の緊急措置」、「NATOから離れ行く米軍の穴埋め」等々、やるべきことは山積みで、私が担当者で脅威の状況を勘案すれ
ば、GCAPの優先度は極めて低く、GCAPは「断念する」か、外交配慮から継続するにしても「細く長く(2035年完成を延期)」しか選択肢はないと思います
SNS上では、「スタマー政権誕生後にGCAPを再検討した結果、既に投資した部分もあり、継続を決定した」との説明も流布していますが、英国の財政状況は時間経過とともに「悪化の一途」ですので、「継続決定」も見直しを迫られると思います。日本は、責任を巧みに英国へ転嫁し、「優先度の低いGCAPから離脱するシナリオ検討」に着手すべきです。
防衛省のGCAP説明webページ
→ https://www.mod.go.jp/j/policy/defense/nextfighter/index.html
GCAPと英国関連
「米報道:遅延と経費増」→https://holylandtokyo.com/2026/03/13/14152/
「伊が英国の姿勢を酷評」→https://holylandtokyo.com/2026/02/02/13845/
「英が踏みとどまる」→https://holylandtokyo.com/2024/11/12/6529/
「英伊が日本に:逃げるな!」→https://holylandtokyo.com/2023/02/14/4299/
その他GCAP関連
「ポーランド参画希望」→https://holylandtokyo.com/2026/03/31/14284/
「伊が開発費3倍増審議」→https://holylandtokyo.com/2026/01/23/13760/
「No2伊代表が語る」→https://holylandtokyo.com/2025/06/13/11826/
「陰然な雰囲気のGCAP」→https://holylandtokyo.com/2025/01/24/10678/
「やっと管理体制に合意」→https://holylandtokyo.com/2023/12/18/5352/


4月2日、日英伊の次期戦闘機共同開発計画GCAPにおける、開発依頼主である3国政府機関連合GIGOと、3国合弁企業Edgewing間の開発事業請負契約が、本来は昨年2025年中に締結完了予定だったにもかかわらず、英国の資金調達目途が立たずに遅れに遅れていたところ、「時間稼ぎのために」暫定的な6月末まで3カ月間契約(約1400億円相当)が「とりあえず」締結されました。