NSSを受け、米国防省が国家防衛戦略NDSを発表
昨年12月6日にヘグゼス長官が事前説明した方向性が実質約15ページで表現
以下では、誤解を恐れず、各種メディア報道から「つまみ食い」した概要の概要を「ポイント箇条書き」いたしますが、これまでに小出しにご説明してきましたように、トランプ政権の“America First”色が明確に反映されたものとなっている一方で、依然として国防省内に様々な意見や勢力が存在し、具体的な政策ごとに「綱引き」の結果がどうなるかは予断を許さない現状とも言われており、激動の国際情勢の中、目が離せない2026年になりそうです。
1. 序文と安全保障環境の認識
(序文の段階で、「本土防衛」>「海外展開」という優先順位が明確に示されている。)
● 米国が「近年で最も危険な安全保障環境」に直面しているとの認識が大前提
① 最優先:米本土と西半球の防衛
• 「Homeland」「Western Hemisphere」を最優先地域として明記。
• 国境問題や中南米の治安悪化、麻薬組織の脅威を重視
• パナマ運河・グリーンランドなど“戦略地形”の喪失リスク
② 他の主な脅威認識
中国→ インド太平洋での米国影響力を脅かす主要競争相手。ただ“最優先脅威”との表現弱まり、抑止強調。
ロシア→ 欧州・北極圏での軍事的挑戦を継続する脅威
イラン→ 中東での代理勢力支援や核開発を懸念
北朝鮮→ 弾道ミサイル・核能力の脅威として明記
2. 戦略の4本柱(Lines of Effort)
① 米本土防衛(Homeland Defense)の強化
• 国境管理の強化
• 麻薬組織・越境犯罪への対処
• 西半球の安定化(中南米の治安支援)
• パナマ運河・グリーンランドなど“戦略地形”の確保
② 中国抑止(Deterring the PRC in the Indo-Pacific)対決ではなく“力による抑止”
• インド太平洋での米軍プレゼンス維持
• 海空軍力の近代化
• 同盟国(日本・韓国・豪州・フィリピン)との連携強化
• 台湾への直接言及は限定的(曖昧化)
「対中抑止は維持するが、最優先ではない」というバランスが特徴
③ 同盟国・パートナーへの負担増要求(Burden Shifting)
• NATO加盟国に防衛費増額を要求
• インド太平洋の同盟国にも“より大きな役割”を求める
• 米国は「世界の警察」をやめ、同盟国が自ら地域防衛を担うべきという立場
④ 防衛産業基盤の“スーパーチャージ” (Rebuilding the Defense Industrial Base)
• 弾薬・ミサイルの生産能力拡大
• 供給網(サプライチェーン)の強化
• 同盟国との共同生産
• 長期競争に耐える産業力の確保
ウクライナ戦争で露呈した弾薬不足を踏まえ、産業力を“戦略の中心”に据えた点が新しい。
3. 旧NDS(2022年版)からの主な変更点
| 項目 | 2022年版 | 2026年版 |
| 最優先事項 | 中国を「最も重要な競争相手」 | 本土防衛を最優先 中国は“抑止対象”に後退 |
| 台湾 | 明確に防衛関与を示唆 | 記載なし |
| 気候変動 | 「安全保障上の脅威」と明記 | 言及無し |
| 同盟国 | 同盟国重視 | 負担増要求を強調 |
| 産業基盤 | 供給網強化 | Superchargeと表現し強調 |
4. 各種報道による考察:特に注目すべきポイント
① 日本への影響
• 対中抑止は維持されるが、日本への役割要求は確実に増える
• 台湾有事の扱いが曖昧化 → 日本の独自判断の比重が増大
• 産業基盤の共同生産要求が増える可能性(ミサイル・弾薬など)

② 米軍のグローバル展開の変化
• 中東・欧州への関与は相対的に縮小
• インド太平洋は維持するが、“米軍単独の負担”は減らす方向
③ 安全保障・運用・制度に直結する点
• 米本土防衛最優先化は、米軍の兵力配分・ローテーションに直接影響
• 同盟国への負担転嫁は、日本の防衛計画の前提を揺さぶる
• 産業基盤強化は、長期戦を想定した“総力戦型”の発想に近い
5. 全体的なまとめ
①トランプ政権の「America First」が全面に反映
• 本土防衛と西半球重視は、米軍のグローバル展開を相対的に抑制方向
• 同盟国への負担増要求は、NATOや日本韓国にも影響及ぶ可能性
② 台湾・気候変動の削除は象徴的
• 台湾問題をあえて文書から外すことで、米国の関与姿勢に曖昧さを
• 気候変動の削除は、軍の任務範囲を「純軍事」に再集中させる意図
③ 産業基盤強化は長期競争を見据えた現実的方向
• ウクライナ戦争で露呈の弾薬不足を踏まえ、米国生産能力を国家戦略として強化
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日本国民として見ると、米国防省内の様々な意見や勢力が個別政策ごとに「綱引き」を行った結果として、「中国」や「台湾」関連の表現の変化が、具体的にどのような形で顕在するのか、また現時点では日本の防衛費増額への直接具体的な数値目標が(ヘグゼス長官の意向なのか?)「一人歩き」しない状態が維持されるのか等が気になるところです。
「まんぐーす」的には、ウクライナ等で顕在化する「脅威の変化」や「戦い方の変化」を受け、米軍を始めとした西側主要国軍が対応を迫られている「戦略・戦術・戦法の変革」が、トランプ大統領の強烈なリーダーシップ(独裁的な横やり)により、「横道にそれる」ことや「的外れな投資」により遅れることを懸念しております。 「次期戦闘機F-47」とか、「トランプ級戦艦」とか・・・・
NDS:国家防衛戦略の現物(表紙など34ページ)
https://media.defense.gov/2026/Jan/23/2003864773/-1/-1/0/2026-NATIONAL-DEFENSE-STRATEGY.PDF
第2期トランプ政権の安保文書関連
「新NDSの方向性事前説明」→https://holylandtokyo.com/2025/12/09/13392/
「欧州酷評の米国新NSS」→https://holylandtokyo.com/2025/12/08/13382/
とりあえず心配な2つの装備
「F-47初号機製造開始」→https://holylandtokyo.com/2025/09/25/12836/
「突然の発表F-47」→https://holylandtokyo.com/2025/03/24/11099/
「トランプ級戦艦」→https://holylandtokyo.com/2026/01/05/13521/


1月23日、昨年12月5日に発表された第2トランプ政権の「NSS:国家安全保障戦略」を受け、米国防省が「NDS:国家防衛戦略」を発表しました。NDSの内容は、ヘグゼス国防長官が昨年12月の講演で骨子を説明した内容(末尾に関連記事)に沿ったもので、「本土防衛の最優先化」「中国抑止の再定義」「同盟国への負担増要求」「防衛産業基盤の強化」との4本柱を中心に、バイデン政権が2022年に発表した前回NDSから大きく方向転換した内容になっています。