謎多き「Golden Dome」計画を責任者が少し語る

お詫び
以下の記事で取り上げている「Golden Dome」計画責任者の Michael A. Guetlein宇宙軍大将に関し、12月2日付記事「Golden Domeブースト段階迎撃の宇宙配備兵器デモ契約」
https://holylandtokyo.com/2025/12/02/133071)の中で、「同大将は(計画責任者に就任)直後に”なぞの退役”となり、同ポストが今どのような扱いになっているのかも不明」と誤った情報を記載しておりました。

Guetlein宇宙軍大将は以下の記事でご紹介するように、きわめて困難なお仕事に淡々と取り組んでおられます。お詫びし、訂正させていただきます。
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引き続きぼんやり説明ながら「来年はよりオープンにしたい」と
計画の範囲、迎撃兵器調達、センサー情報迅速共有、指揮統制システム開発を語る

12月6日、Feinberg国防副長官に直属する「Golden Dome」計画責任者(direct reporting program manager)に7月から就任し、宇宙配備型迎撃ミサイルからデータ転送衛星やミサイル警戒衛星などを含む、センサー、迎撃ミサイル、指揮統制機能の新しいネットワークで構成と予想される同計画の、「予算・調達・雇用・技術や施設整備に関する権限」を副長官から付与されている Michael A. Guetlein宇宙軍大将が、「Reagan National Defense Forum」でMeink空軍長官やNorthrop Grumman社CEOのKathy Warden氏やFischer上院議員らとパネル討議に出席し、

5月にトランプ政権が「米本土防衛重視」の柱として打ち出した、従来の米本土ミサイル防衛計画を拡大発展させ、弾道ミサイルだけでなく、極超音速ミサイルや巡航ミサイルやドローンやFOBS(部分軌道爆撃システム)等々の全てから米本土を防衛することを狙い、壮大かつ秘密のベールに包まれた「Golden Dome」計画について、少し具体的に検討状況に触れ、「来年はよりオープンにしたい」と匂わせぶりに語っていますので、12月7日付米空軍協会web 記事からご紹介します

「Golden Dome」計画責任者 Guetlein 大将はパネル討議で
●最終的な完成状態には至らないが、2028年夏までに、高度な脅威から国家を防衛する能力を獲得することになろう。完成に至るまでのタスクは複雑だが、「solidなplan」は既にできている。完成に向け軌道に乗っているが、ゴルフでいう「外すことが困難で簡単な」パットではない
●会場の皆さんの中には、我々が何をしているか知られたくない方もいるでしょう。(しかし)新年からはオープンな会話が開始できるだろうと期待している

●我々は、ハワイ、アラスカ、グアムを含む米国全土に注力しているが、当初から全てを投入するわけではない。米陸軍は既にグアム防衛に非常に熱心に取り組んでおり、その能力を整えれば、「Golden Dome」の一部となる。ゼロから構築するプロジェクトではなく、各軍が推進している既存のシステムとプログラムを活用する

●我々は、宇宙配備型迎撃ミサイルなどの新たな能力の開発作業を開始している。この過程では、特定の兵器システムの調達ではなく、技術の発展を目的とした柔軟な官民協定である取引契約(OTA)を活用している
●また迎撃ミサイルでは、既にTHAADやPAC-3需要が非常に高止まりしている現状を踏まえ、副長官室がリードして、産業基盤の拡大に特に尽力し、既に必要な迎撃ミサイルの調達に着手している。

●5月の大統領令でも強調されていた、各種センサーや指揮統制システム間のデータ転送や共有能力増強も重要な課題で、我々のニーズを伝えて国防省と協議中だ。(本件に関しMeink空軍長官も、空軍と宇宙車の協カスケジュールについて精力的に協議しているとバネル討議の中で述べている)

●「Golden Dome」の背骨となる指揮統制および射撃管制ソフトウェアの開発にも、業界バートナーのチームが精力的に具体的な取り組みを進めている

パネル討議に参加した他メンバ一の発言概要など
・シンクタンクAEIは、9月30日付レポートで、「Golden Dome」計画の今後20年間のコストは、37兆円から 540兆円にまで膨らむ可能性があるとの試算を公表している

・Northrop Grumman社CEOの Kathy Warden女史は、「宇宙配備迎撃システムを、これだけ迅速にかつ大量に整備するには、政府と業界が一体となった態勢が不可欠で、システム開発では手頃な価格で拡張可能なシステムにする着意が重要だ」と語っている。
・Deb Fischer上院議員(R-Neb.)は、「巨額のコストに米議会で懸念が広がっており、議会と国防省間の緊密な連携が求められるが、特に計画に関する情報を基に、計画の各部分の優先順位を明確にすることが求められるだろう」とコメントしている。
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12月7日付米空軍協会web記事のタイトルは、「Golden Dome Details Begin to Emerge:GD計画の細部が明らかになり始めた」ですが、その筋の専門家でない限り、以上の発言要旨から記事表題のような気分になるのは難しそうです。

素人的には「構想的にも必要予算規模からしても、あまりにも煮詰まっていなくて公表できないのでは・・・」と勘繰りたくなるのですが、「新年からはオープンな会話が開始できるだろう」とのGuetlein大将言葉を信じ、あっと驚く新技術や新たな発想が披露されることを「生暖かく」見守りたいと思います

トランプ政権の心配なGolden Dome構想
「ブースト段階迎の宇宙配備兵器デモ契約」→https://holylandtokyo.com/2025/12/02/13307/
「後に取り消しの責任者大将人事」→https://holylandtokyo.com/2025/08/05/12306/
「ミサイル防衛テコ入れ加速の大統領令」→https://holylandtokyo.com/2025/02/14/10810/

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