SBI（space based interceptors）の初期試作契約を複数企業と
複数試作案を評価し、最終勝者を選定へ
Midcourse段階迎撃は別途12月から選定開始
複数の試作契約対象企業や金額等はすべて非公開
11月25日付米空軍協会web記事は、トランプ大統領任期中（2029年1月まで）の運用開始を目指している米本土ミサイル防衛構想「Golden Dome initiative」に関し、敵ミサイル発射直後の「ブースト段階：boost phase」で迎撃する宇宙配備の迎撃兵器（SBI：space-based interceptors）選定のため、米宇宙軍が複数企業とプロトタイプ初期試作契約を締結したと報じていますこの契約発表に際し米宇宙軍は、「OTA取引契約を通じ、包括的かつ厳格な審査プロセスを経て複数業者にSBIの試作を発注した」、「産業界と連携した迅速な取り組みを主導する」と報道官が発表していますが、OTA（Other Transaction Agreements）契約であり、契約対象の複数企業名や契約金額を明らかにできないとしています。
今次の発表は「ブースト段階：boost phase」迎撃用の宇宙配備迎撃兵器（SBI）に関するものですが、「ミッドコース段階：Midcourse phase段階」迎撃用のkinetic宇宙配備迎撃兵器（SBI）については、別途12月に試作機コンペティションを開始する予定で、2026年2月に選定結果に基づき契約締結に進む予定とのことです
この「Golden Dome」構想は、トランプ大統領就任第1週に大統領令で構想検討着手が指示され、5月に大統領執務室で実施されたプロジェクト披露会見では、トランプ大統領任期中（2029年1月まで）の運用開始を目指し、総経費約25兆円（1750億ドル）を投入すると発表されましたが、
実施計画は現在策定中で、方向性についても「作戦運用上の非公開事項」として詳細は明らかにされておらず、外部専門家が独自に計画の精査を試みていますが、総じて「技術的に実現可能性に懐疑的」で、「経費面でも」規模によっては更に拡大の可能性を秘めていると警戒しているところです
一方で、トランプ大統領肝いりのプロジェクトで、巨額の資金が投入見込とあって、既に多くの軍事産業（Northrop GrummanやLockheed Martin等のお馴染み企業から、ベンチャーのApex Space等々まで）が、それぞれの研究開発成果や今後数年の実証実験予定をアピールして売り込み合戦を開始しており、「欲と金」にまみれた「目にしたくない」様相を呈しているとも論評されているところです
/////////////////////////////////////////
12月から選定開始の「Midcourse phase」迎撃用のkinetic宇宙配備迎撃兵器（SBI）は2026年2月に結果が出て本契約に進むと記事は紹介していますが、今回発表された「ブースト段階：boost phase」に関しては、記事はスケジュール情報を掲載していません。（積極的に調べておりません。悪しからず・・・）
実現可能性が極めて怪しい「Golden Dome構想」では、全体と統括する国防副長官直属の担当責任者（direct reporting program manager）に、直前まで米宇宙軍 No2だったMichael A. Guetlein 大将が7月21日付で任命され、7月22日に「Golden Dome計画で目指すビジョンはこ
れだと詳細に説明可能な、客観的な全体像（objective architecture）を就任60日後（9月下旬）までに提出せよと、国防副長官から指示されている」と語っていました。
ところが同大将は直後に「なぞの退役」となり、同ポストが今どのような扱いになっているのかも不明な中、「ブースト段階：boost phase」や「Midcourse phase」迎撃用SBIのプロトタイプ試作契約だと持ち出されても、「胡散臭い」との印象がぬぐえない「まんぐーす」です。
トランプ政権の危ういGolden Dome構想
「後に取り消しの責任者大将人事」→https://holylandtokyo.com/2025/08/05/12306/
「ミサイル防衛テコ入れ加速の大統領令」→https://holylandtokyo.com/2025/02/14/10810/
「米北西部に OTH レーダー設置へ」→https://holylandtokyo.com/2025/07/10/11377/
