まずは基礎となる対空ミサイルCAMP開発
その成果を「低コスト空対空ミサイル」開発に生かす構想
価格が1発7500万円想定で、AIM-120より安価もAIM-9Xと同等で微妙
ドローン対処用の精密誘導ロケット弾は300万円以下も
このCAMP提案募集は11月7日に公示され、12月2日が提案期限との短期間募集ですが、「(CAMP募集の)最優先事項は、手頃な価格でのオープンシステム、モジュール式、そして高度に生産性の高い地上発射対空ミサイルの開発と実証」で、
2年後のモジュール式CAMP試作機の開発と実証を第1段階とし、第2段階ではミサイルを正式プログラムへと転換し、将来の派生型空対空ミサイル製造を目指すスケジュールで進めると公示されているようです。
ただDefenseOne記事は、このCAMP開発、つまり将来の新型空対空ミサイルが、既存の空対空兵器や対ドローン兵器と、どのような住み分けや位置づけで使用されるのか「謎だ」と疑問を呈し、新型ミサイルの想定価格「50万ドル:7500万円」と既存空対空ミサイル価格を比較しています。
・AIM-120D→約1億5000万円
・AIM 9X→約7400万円
・APKWS IIレーザー誘導付ロケット弾→250~300万円
ちなみに、APKWS II(AGR-20 Advanced Precision Kil Weapon System)は、イランやイ
エメンから、イスラエルや紅海を航行する船舶に大量発射される安価なドローン迎撃に、1発1億円~数1000万円する高価な対空ミサイル(AIM-120やAIM-9)を使用していては破産する・・・との切実な西側車の叫びを受け、地上攻撃用「Hydra-70」 ロケット弾にレーザー精密誘導機能を付加した兵器で、
「打ちっぱなし性能:fire-and-forget」は無いため、ロケット弾を命中させるまで目標にレーザー照射を継続する必要があるものの、低速なドローン迎撃であれば、レーザー照射用F-16とロケット弾を16~28発搭載可能な発射母機F-16が訓練を積んで協力すれば可能で、過去1年間のフーシ派ドローン対処に成果を上げてきた兵器です。
従ってAPKWS 1は、AIM-120やAIM-9のように戦闘機を空中戦で撃墜する狙いの兵器ではなく、単純な価格比較に意味はありません。
ただ、ドローンによる「低高度制空権確保」が戦いの趨勢を握り、死傷者の8割がドローンによってもたらされているウクライナ等での戦いの実相を目の当たりにすると、「ある程度性能を犠牲にしても、手頃な価格(50万ドル約7500万円)と、年間1,000~3,500発の生産量確保を狙う、新たな空対空ミサイル開発」で、米空軍が何を目指しているのかは極めて興味深いところです
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ヘグゼス国防長官が最近「調達の大改革」を打ち出しており、もしかしたら、AIM-120(AMRAAM)の後継ミサイルと言われる、極秘開発中の「AIM-260 JATM」開発に影響を与えるものかもしれません。
ちなみに11月7日公示のCAMP提案募集通知には、「この取り組みは、戦闘員の優位性を革新し、生産を加速して大規模提供するという国防省の戦略的方向性に沿ったもの」と記されているとのことです

なおCAMP提案募集公示では、CAMPは、米空軍がAnduri 社やZone 5 Technologies社と開発中の、「低コスト巡航ミサイル」である「ETV:Enterprise Test Vehicle」の「一部となる」とも言及されているとのことで、関係者の注目を集めているとの事です
APKWS関連の記事
「欧州米空軍F-16がドローン撃墜訓練」→https://holylandtokyo.com/2025/04/28/11366/
「低価格なCM対処兵器試験成功」→https://holylandtokyo.com/2020/01/07/861/
「無誘導弾を安価に精密誘導へ」→https://holylandtokyo.com/2016/06/18/7625/
AIM-120(AMRAAM)と後継AIM-260 JATM開発
「AMRAAMの現在位置」→https://holylandtokyo.com/2024/10/23/6337/
「2026年製造中止のはずが大増産中」→https://holylandtokyo.com/2023/05/17/4556/
「超極秘開発のAIM-260 JATM」→https://holylandtokyo.com/2022/04/04/3088/


11月12日付DefenseOne記事が、「ある程度性能を犠牲にしても、手頃な価格(50万ドル:約7500万円)と年間1,000~3,500発の生産量確保を狙う」新たな「空対空ミサイル」開発を目指し、米空軍が、まず技術確認のための「対空ミサイル:CAMP : Counter-Air Missile Program」開発の企業提案を募集中だと報じています