演習でタブレット操作無人運用Black Hawkヘリが大活躍

有人と無人運用切り替え可能な「Optionally piloted Black Hawk」
DARPAとSikorsky社が数年前から開発中の「Matrix technology」
100㎞以上離れた海上から空挺兵士搭乗ヘリを遠隔操作
HIMARS発射管や緊急負傷者空輸の訓練も実施

11月3日付Defense-Newsが、DARPAとSikorsky社が数年前から開発中の有人ヘリを遠隔操作無人運用でも使用可能にする「Matrix technology」開発プロジェクトの一環として、2025年8月にミシガン州で行われた陸軍州兵主体の隔年開催の多国間演習「Northern Strike 25-2」で、同技術を搭載したUH-60L Black Hawkヘリが短時間の習熟訓練を受けた米陸軍州兵兵士により、様々な前線空輸に活用され演習指揮官を感嘆させたと報じています

記事によれば、「Matrix technology」搭載遠隔操作Black Hawkヘリは
●更に同ヘリは、HIMARS発射管の取り付けと取り外し6回を含む、様々な貨物の空輸を組み合わせた連続空輸訓練も問題なく遂行した
●また同ヘリは、約120㎞離れた湖上の沿岸警備隊船舶から遠隔操作され、異なる高度に位置する複数の指定地点への空挺兵士の連続空輸や、演習内想定で急遽割り当てられた負傷者の緊急ピックアップと後方への搬送訓練にも対応した
●航空運用の経験のない陸軍州兵兵士が、約400kgの水牛数頭(約1500kg)の空輸を訓練課題とした約1時間の操作訓練で、遠隔操縦用タブレットの使用方法に習熟した

Sikorsky社を傘下に置くロッキード社webサイトによれば、「Matrix technology」を搭載したUH-60L Black Hawkヘリは、2022年10月から米陸軍に対し同技術搭載の同型ヘリのデモンストレーションや演習での使用試験を行っており、パイロットによる有人操縦運用機能を残したまま、タブレット操作による無人遠隔操作運用が可能とのことですが、

DARPAとSikorsky社は既に完全自律運用可能なヘリ開発も並行的に進めており、今年の米陸軍協会の年次総会併設の装備展示会で、「U-HAWK」の愛称を持つUH-60L Black Hawk完全自律型バージョンも既に披露しているとのことです。
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Sikorsky社の担当副社長は、演習成果発表時に「本格紛争での厳しい戦場環境下において、有人機として運用実績があり信頼性が高く、搭載量も大きいBlack Hawkヘリを無人運用可能にすることは、前線部隊の柔軟性と強靭性を大いに向上させ、指揮官のニーズを支える原動力となる」とコメントしていますが、正にその通りだと思います。

必要となれば、パイロットが乗り込んで有人機として活用可能とのことで、一足飛びにいきなり「無人機」運用では抵抗のある前線指揮官も受け入れやすい装備となりそうです。導入が決定済みなのか、あくまでも試行開発段階なのか不明ですが、色々含蓄のあるお話なのでご紹介しました。

2022年時点では「米陸軍は無人化を目指さない」方針
「UH-60が無人飛行に成功」→https://holylandtokyo.com/2022/02/21/2707/
「無人化でなく自動化推進の方向か!?」→https://holylandtokyo.com/2019/10/31/6637/

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