ウクライナが迎撃用無人機で露軍無人攻撃機を大量要撃

一晩で露軍ドローン150機を迎撃と発表
ウは同迎撃用無人機の大量生産体制確立に奔走中
露軍が大量投入するイラン製無人攻撃機対処に

9月7日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、同日未明にロシア軍が実施したイラン製無人攻撃機「シャヘド」400機以上を含む、合計810機の無人攻撃機や弾道ミサイルによる過去最大規模のウクライナ防空網飽和攻撃に対し、ウクライナが大量生産体制確立に全力で取り組んでいる迎撃用ドローンを投入し、同迎撃無人機だけで約150機の露軍無人機の迎撃に成功したと明らかにしました。(以下、12日付Business Insider記事より)

ウクライナ軍は迎撃用無人機のほか、ロシア無人機の操縦信号をかく乱する通信妨害、空対空ミサイル、地対空ミサイル、対空機関砲部隊により露軍の大規模攻撃に対処したが、56機のドローンがウクライナの防空網を突破し、首都の国会議事堂に被害をもたらしたほか、少なくとも幼児1人を含む4人が死亡したと明らかにしています

ウクライナ製の迎撃用無人機は、当初は露軍偵察機を攻撃するために開発されていたもので、対象機を追跡し、衝突して破壊するのに十分な速度性能を持つ高速無人機とのことで、迎撃無人機が搭載したカメラ映像を使用して操縦する人間が目標まで誘導する方式で、ロシア軍が無人攻撃機を大量する中で、迎撃機の性能向上や改良に全力で取り組んでいるとのことです

ゼレンスキー大統領は、「露軍は一度の攻撃で300~400機のイラン製シャヘドによる大規模攻撃を続けており、我々の迎撃能力もこれに対処可能なレベルにする必要があり、国家としての最優先課題だ」と7日の史上最大のドローン攻撃後に語っており、夜間攻撃の主要兵器となっている時速約185㎞の「シャヘド」に追随可能な安価な高速迎撃ドローン確保に向け、複数の企業と連携しているとのことです。

またロシア側は、ウクライナ側の防空組織を飽和して圧倒するため、「シャヘド」に似せて設計された「ガーベラ」という「おとり」ドローンも配備しており、これへの対処も含め、低コストで信頼性の高い迎撃用ドローン開発に勢力を投入しており、ウ大統領は「この迎撃技術の開発、配備、訓練。それらのすべてが人命を救う」との信念の元、必要な資金と契約を確保しているとも説明したようです。

なお、露軍使用のシャヘドは1機あたり約530万円程度(3.5万ドル)なのに対し、ウクライナ開発の無人迎撃機は1機あたり30万円から90万円程度(2~6千ドル)と言われています
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ドローン対処の技術開発は、特に欧州企業を巻き込んだウクライナ国内企業の懸命な取り組みにより、猛烈な勢いで進化発展し続けているようで、報道をフォローするだけでも大変です。

7月28日付記事で、米国新興企業幹部がウクライナで通用しない装備は将来も使えないと断言する様子を紹介し、8月19日付記事で、IT分野を統括する30代のウクライナ副首相が「迎撃用ドローン」開発で日本との連携を呼び掛けていることを取り上げ、

9月9日付記事で、米軍大将が米企業に対し「もっと積極的に、ウクライナの過酷な戦場環境に挑戦し、将来戦に備えよ」と訴える様子を取り上げましたが、そんな一連の動きを象徴するウクライナでの9月7日の激戦模様でした

また、ポーランドとルーマニアにロシア軍無人機が侵入して「NATOの覚悟を試すかのような」動きを見せる中、欧州各国が軍需産業を巻き込んで、高価なミサイルや戦闘機に代わる、安価で大量生産可能な迎撃用無人機導入や開発に動く様子を、9月15日付Defense-Newsが報じています

ウクライナの戦いから将来戦に備えよ
「米企業よ、ウで試験し将来に備えよ」→https://holylandtokyo.com/2025/09/09/12705/
「ウと日本で共鳴する無人機の話題」→https://holylandtokyo.com/2025/08/19/12561/
「米国がドローン支配狙うも」→https://holylandtokyo.com/2025/07/28/12266/
「中国はドローン対処に 3000社投入」→https://halylandtokyo.com/2025/05/28/11509/

ウクライナとイスラエルの革新的兄弟作戦
「ウクライナ:クモの巣作戦」→https://holylandtokyo.com/2025/07/14/12101/
「ウの革新的ドローン遠方攻撃」→https://holylandtokyo.com/2025/06/06/11771/
「イ工作員の防空網破壊が口火」→https://holylandtokyo.com/2025/06/23/11962/

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