米国防省報道官「イラン核開発をほぼ2年近く遅らせた」

「評価は継続中で日々状況が明らかに」との前提で
イラン核能力は「消滅したobliterated」との表現継続
更に「おそらく爆弾製造の野心さえも失われた」と言及

6月2日、米国防省の広報責任者Sean Parnell報道官が定例会見で、戦果評価は継続的に続けられており、日々新しいい情報を入手して分析の確度を高めている途上だと断りつつも、6月22日の米軍によるイラン核施設3か所の攻撃で、核開発計画は1~2年遅れる可能性が高いと、攻撃から10日間経過した時点での米国防省情報機関の分析について言及しました

Parnell報道官の発言を3日付Defense-News記事から拾うと・・
●イランの核計画は、恐らく2年近く遅延することになると見ている。
●イランの核能力は著しく低下し、おそらく爆弾製造の野心さえも失われたと我々は考えている。
●今回の攻撃で、イランの核能力が消滅した(obliterated:ヘグゼス国防長官が攻撃直後の会見で使用した言葉を再使用)と考えている。

●評価は継続中で、我々が把握している状況は日毎に明確になっており、新たな情報が入手でき次第、報道陣に引き続き情報を提供していく

同報道官は、どのような新情報によって、2日の会見発言のような評価に至ったかについては言及しなかったとのことです。

6月22日の「Operation Midnight Hammer」の成果については、国防省の情報機関である国防情報局(DIA:Defense Intelligence Agency)が、攻撃直後の「初期段階分析」で「イラン核計画を数か月遅らせる程度のダメージ」と評価しているとCNNがリーク報道を行い、後に政権として同DIA分析の存在を認めましたが、

その後ヘグゼス国防長官は、CNN報道に直接的な言及は避けつつも否定もせず、あくまで攻撃直後の情報収集が初期段階の分析であり、被害はより深刻だったと説明していたところです。

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戦果評価の難しさを過去例や情報機関と政権関係等々から外部専門家が語る
(7月4日付Defense-News掲載の投稿記事)
https://www.defensenews.com/opinion/commentary/2025/07/03/why-its-hard-to-know-the-damage-the-us-did-to-irans-nuclear-program/

「戦果の分析は作戦実行部隊の任務ではなく、情報機関の仕事だ」とCaine統合参謀本部議長は説明しており、情報機関は必死で情報収集と分析を行っているのでしょうが、これは難しい作業だと思います。

仮に3か所のイラン核施設に100名の国外専門家を送り込んで調査可能だとしても、イラン政権内で核兵器開発への意欲がどれだけ維持されているか? 知見を持つ多数の幹部が抹殺された中で核兵器計画を推進することが可能か? 施設再建に必要な資材を入手可能か? イラン防空能力がほぼ壊滅的被害を受けた中で再建が可能か? 等々の見積もりが容易とは考えにくく、

衛星写真等から施設被害を想定し、攻撃以前のイラン側の政治姿勢や態勢が維持されると仮定したうえで、全力復旧した場合の必要期間が多分「2年に近い1~2年」であって、攻撃後のイラン内外の情勢を踏まえれば、「おそらく爆弾製造の野心さえも失われた」との見立ても十分あり得ると、個人的には思います

イラン核施設攻撃の関連
「15年かけた執念の作戦」→https://holylandtokyo.com/2025/06/30/12041/
「攻撃当日の国防長官と統参議長の速報会見」→https://holylandtokyo.com/2025/06/23/11980/
「巡航ミサイルはSSGN潜水艦から」→https://holylandtokyo.com/2025/07/01/12008/
「6月12日のモサド工作員奇襲」→https://holylandtokyo.com/2025/06/23/11962/

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