米軍イラン核施設攻撃で巡航ミサイルはオハイオ級戦略原潜改修型から

SLBM搭載のオハイオ級戦略原潜をトマホーク搭載用に改修4隻の1隻
核ミサイル搭載型はSSBNで巡航ミサイル搭載型はSSGN
従来水上艦艇から発射されてきた海軍トマホークだが今回は・・

6月24日、上院予算委員会でJohn Phelan海軍長官が米軍によるイラン核施設攻撃作戦「Operation Midnight Hammer」に関し証言し、攻撃目標の一つであったイランIsfahan の核施設攻撃を担った24発以上の巡航ミサイルトマホークを発射したのは、オハイオ級戦略原潜(SSBN)18隻の中で、1~4番艦のみを対象に行った巡航ミサイル発射型(SSGN)への改修(2001年から)を施した4隻のうちの1隻だと説明しました

オハイオ級戦略原潜(SSBN)は、もともと水中発射型の大陸間弾道弾(SLBMトライデント)を搭載し、長期間隠密裏に水中潜航して「核抑止」を担う任務から、原理的には6か月間連続して水中活動が可能で、通信手段等も含めて隠密活動に適した仕様となっていましたが、

巡航ミサイル搭載型(SSGN)はその隠密性を保持したまま、24基のSLBM発射筒のうち22基をトマホーク用に改修し、1基あたり7発トマホークを装備して計154発のトマホークを搭載可能とし、残りの2基を海軍特殊部隊「SEALs」66名と水中移動用小型艇を運搬&展開可能な形に改造しています。

本件を報じる6月25日付Defense-Newsは、米海軍が巡航ミサイルを作戦で使用する場合、2025年3月の対フーシ派作戦「Operation Rough Rider」で空母トルーマン打撃群の水上艦艇が巡航ミサイル発射を担ったように、通常水上艦艇から発射されるが、Midnight Hammer作戦では作戦の隠密性や秘匿の重要性から、オハイオ級SSGNが発射母体に選択されたのだろうと分析しています。

Phelan海軍長官も、具体的に4隻保有するSSGN(Ohio, Florida, Georgia and the Michigan)の中のどの潜水艦が、具体的に作戦に参加したのか言及を避けており、行動の秘匿性や隠密性を重視するオハイオ級SSBNやSSGNについては、「触れたくない」「話題にしてほしくない」感が漂っています
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確かにMidnight Hammer作戦では、最も厳重に地中深く隠されたFordow核施設への攻撃が関心を集め、初使用された巨大貫通弾(バンカーバスターの中で最大のGBU-57)や、おとり作戦まで周到に準備し、史上最大の7機同時投入されたB-2爆撃機に大きな関心が集まりましたが、

米軍のみが保有する巨大貫通弾14発での攻撃だけでなく、巨大貫通弾14発以外の貫通弾75発-14発=61発で、米軍が攻撃しなければならなかった理由や必要性や、弾頭700ポンド程度と破壊力が小さい巡航ミサイルで米軍が攻撃した理由や必要性についても、関心を持つ必要がありましょう

オハイオ級原潜(SSBNとSSGN)
「オハイオ級をご紹介」→https://holylandtokyo.com/2017/12/15/7111/

コロンビア級(オハイオ級原潜の後継)
「初契約」→https://holylandtokyo.com/2020/11/12/385/
「NKが次期SSBNに追い風」→https://holylandtokyo.com/2018/06/11/6975/
「コロンビア級の予定概要」→https://holylandtokyo.com/2015/10/30/7892/
「要求性能固まる」→https://holylandtokyo.com/2014/04/10/8461/

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