中国衛星監視システムSISOの追跡を察知する能力付与
2023年1月から衛星に搭載し宇宙空間で試験中
「自己認識：own-ship awareness」技術と呼ぶそうです
Satellite Communications Augmentation Resource (SCAR)もご紹介
3月7日付米空軍協会web記事は、国防省宇宙迅速能力室（宇宙RCO）Kelly Hammett室長が記者団に、中国が衛星監視や宇宙監視目的で整備しているが実態不明の「中国SISO network」の能力を探り、対処法を検討する一環として、2023年1月に打ち上げられた衛星（LDPE-3A）に、衛星自身が「監視されているか、追跡されているか、標的にされているかなどを察知するセンサー」の試験装置を搭載し、衛星自身に向けられている監視の目を「自己認識：own-ship awareness」する技術の成熟に取り組むとともに共に、2年以上に渡り「中国SISO network」に関する多様な非常に興味深いデータを収集していると明らかにしたと紹介しています。もちろん詳細は不明ですが、この衛星「自己認識」との概念と、同記事が併せて取り上げている衛星制御ネットワーク (SCN)を増強する「Satellite Communications Augmentation Resource (SCAR)」についてもご紹介します
衛星「自己認識：own-ship awareness」技術への取り組み
●国防省宇宙迅速能力室（宇宙RCO）は、2年前の2023年1月、中国の宇宙監視網「中国SISO network」が米衛星を追跡していると米側衛星運用者に警戒信号を送る装置の試験機を衛星（LDPE-3A）に搭載し、ひっそりと打ち上げた。
●中国は地球監視のため数百の偵察衛星を打ち上げ西側も相当程度状況を把握しているが、「中国SISO network」は宇宙物体の監視と識別用のセンサーとレーダーで構成されるらしいが、どのように宇宙を監視しているかは良くわかっていない。おそらく米国が宇宙物体を追跡する独自の衛星、レーダー、望遠鏡を保有し、同盟国とも協力している方向性と同じだろうと推測し観察している
●この「中国SISO network」の実態を把握し、対処策を推進する第一歩として、「個々の衛星に対する異常、危険、脅威を検出し報告する」能力を「自己認識：own-ship awareness」能力と表現し、技術開発に取り組んでいる
●「自己認識：own-ship awareness」はまだ開発初期段階にあるが、同室長は「現在は軌道上で自己認識表示と警報発信のような役割をさせている」、「この機能を宇宙軍の衛星全体に普及させたい」との思いから、「如何に低コストで多くの衛星に同能力を搭載するかを考えている」と語り、「従来の調達ルートとは異なる、小規模企業同士が協力しての提案を促し、将来衛星プログラムへの投入を目指している」と語っている
衛星制御ネットワーク (SCN)の増強対策
SCAR（Satellite Communications Augmentation Resource）
●衛星制御ネットワーク (SCN)は、各衛星の位置や状態データを収集し、電源、アンテナ、機械、熱システムなどのサブシステムを制御するために使用されているが、現在のSCNアンテナは古く能力限界があり、一度に衛星1個にしか接続できない。これでは、衛星が急増する時代に対応不能で大きな問題となっている
●このSCNに必要な能力増強を提供するのが、衛星通信増強リソース (SCAR：Satellite Communications Augmentation Resource)と呼ばれるプロジェクトで、電子的に操作可能な「Phased-Arrayアンテナ」を追加し、制御操作員が同時に複数の衛星に接続可能になることを目指している
●例えば宇宙RCOは、衛星の任務に応じて「Badgers」と呼ばれる「モジュール化」されたアンテナを組み合わせて搭載する方式を企業と検討し、2025年後半から投入する計画を持っている
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以上の宇宙RCO室用の発言は、3月3日の週に米コロラド州で開催された米空軍協会Warfare Symposiumでの記者懇談会での言葉ですが、本来ならば「米空軍大改革の進捗状況」や「次期制空機NGAD」や「無人ウイングマン機CCA開発の状況」等々が大きな見出しになるはずが、
トランプ政権誕生ですべてが「一時停止」「新空軍長官らの新リーダー体制によるレビューが終わってから」状態ですので、正直なところ「ネタ切れ」状態のイベントとなっています。もちろん前空軍参謀総長で現在の統合参謀本部議長Brown大将がクビになった「DEI政策根絶：多様性・平等性・包括性の過度な追及廃止」については説明事項がありましょうが、公に盛り上がるのは難しいネタですから・・・
とはいえ、本日のキーワード「中国SISO network」「衛星自己認識：own-ship awareness技術」「衛星通信増強リソースSCAR」は、今後重要な言葉ですので覚えておきましょう！
宇宙監視への西側の取り組み
「日本のナビ衛星に米軍デプリ監視装置を」→ https://holylandtokyo.com/2025/02/28/10801/
「空軍長官候補に宇宙のプロ」→https://holylandtokyo.com/2025/01/20/10635/
「宇宙監視も成功：次期イージスレーダー」→https://holylandtokyo.com/2024/05/27/5808/
「AUKUSで 3か国宇宙監視レーダー」→https://holylandtokyo.com/2023/12/11/5338/
